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【報告抄訳】ISW ロシアによる攻勢戦役評価 1900 ET 10.08.2023 “ワグネルの動向:ベラルーシを本当に去るのか”

以下は、ISW(戦争研究所)の2023年8月10日付ウクライナ情勢報告の一部(添付した文書画像箇所)を、日本語に訳したものになります。


https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-august-10-2023
https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-august-10-2023

ワグネル・グループはベラルーシの軍事施設におけるその存在を保ち続けており、ロシアへ引き上げるという風説に関わる状況は依然として不透明である。8月9日に収集した衛星画像を見ると、ベラルーシ領アシポヴィーチ付近ツェリのワグネル野営地に、かなりの数の車両があることが分かる。また衛星画像は、8月1〜9日の間に車両がさらに到着していることすら示している。ウクライナ側情報筋は、ブレスト州でのワグネルの活動が拡大していることを引き続き報じており、ワグネル傘下の情報発信源は、ワグネルの軍事指導員がベラルーシ軍人の訓練を引き続き行っている様子を撮った動画を8月10日に投稿した。このワグネル傘下の情報発信源は、ワグネル戦闘要員とされる人物から寄せられた否定的見解を拡散した。その戦闘要員は、憶測されている内容は「現実味のない空想」だと述べているが、その一方で彼自身、ワグネル戦闘要員の多くは最後の瞬間まで自分たちの配置先について知らされていないことを認めた。そうではあるが、ワグネルがベラルーシからクラスノダール地方・ヴォロネジ州・ロストフ州に500〜600人の要員をバス輸送したという、ここ最近の8月8日以降流れた憶測に対立する内容を示唆する情報を、ISWは確認していない。ロシア側情報筋は、ワグネル部隊が8月13日にベラルーシからの引き上げとされるものの第二段階を行う予定だと推測しているが、ワグネル軍事指導員からなる小グループはベラルーシ軍の訓練のためにベラルーシに残ることになるだろうとも推測している。

Source: Planet Labs
Source: Planet Labs

ワグネル・グループ資金提供者エフゲニー・プリゴジンは以前とは異なり、今回の憶測に関して直接的にも第三者を通した形でもコメントをまだ発信していない。このことが示唆しているのは、プリゴジンがワグネルの今後に関するコメントを、まったく問題なく自由に発信することができない可能性があるということだ。プリゴジンの姿は、7月27日にロシア・アフリカ経済・人道フォーラムの局外で確認されて以降、公の場で確認されておらず、最も最近の発言は、7月30日に録音音声でワグネルの将来についてコメントしたのが最後だ。その録音コメントのなかでプリゴジンは、ロシア国防省と契約しなかったワグネル戦闘要員は8月5日までにベラルーシに到着することになるとはっきりと述べた。ワグネルのベラルーシからの引き上げに関する憶測から、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が仲介してワグネルの6月24日反乱を終息させた合意に含まれる内容の何かを、クレムリンが反故にしようとしている可能性が示唆される。これが先にISWが示した評価判断である。クレムリン傘下の情報筋は8月上旬、プリゴジンへの攻撃を再開した。そして、今回の憶測それ自体が、ワグネル戦闘要員のなかでのプリゴジンの立場を低める目的の、もしくは他の対象に対する、情報工作の一環である可能性がある。


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