本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年11月18日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。なお、初出地名は、Google Mapsとリンクしてある。
(記事サムネイル画像はウクライナ軍参謀本部のFacebook投稿写真を使用した)
アウジーウカ方面
報告書原文抜粋(英文)
日本語訳
ロシア軍は11月18日もアウジーウカ周辺で攻勢作戦を続けた。また、同軍がわずかに占領地を広げたことも確認されている。撮影地点特定済みの11月18日投稿動画によって、ロシア軍がアウジーウカ・コークス工場から北に位置する地点とアウジーウカ市南東側郊外にある工業地区で、わずかに前進したことが分かる。複数のロシア軍事ブロガーは、ロシア軍が工業地区の60%を制圧しているという主張を続け、ウクライナ軍の撤退とロシア軍の前進という主張を根拠にして、アウジーウカ・コークス工場の一部が、ますます両軍交戦中の「グレーゾーン」化しているという主張も続けた。ロシア軍事ブロガーはまた、ロシア軍がアウジーウカの南にある料理店「ツァールスカ・オホタ」付近で、複数の陣地を占領したと主張し、また、同軍がアウジーウカからまっすぐ北西方向に位置する石炭屑集積場[ボタ山]の南方で攻撃を継続していると主張した。ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、ロシア軍がアウジーウカ北方の鉄道線付近で収めた成功を進展させており、ステポヴェ付近(アウジーウカから南東に3km)の展開拠点の支配を固めているところだと主張した。また、この軍事ブロガーの記述によると、ウクライナ軍はアウジーウカ南東の工業地区から、まだ撤退していないとのことだ。上述とは別のロシア軍事ブロガーは、ロシア軍がシェヴェルネ(アウジーウカから西に6km)攻撃の努力を続けたと主張し、同軍はトネンケ(アウジーウカから北西に7km)に向かって前進しているところだと主張した。複数のロシア軍事ブロガーの主張によると、主にオチェレティネ(アウジーウカから北西に15km)、ノヴォカリノヴェ(アウジーウカから北西に11km)、アウジーウカ・コークス工場の各方面で、戦闘が続いているとのことだ。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、ノヴォバフムティウカ(アウジーウカから北西に9km)、ステポヴェ、アウジーウカの各東方、トネンケの南方、ケラミク付近(アウジーウカから北西に14km)でのロシア軍の攻撃を、ウクライナ軍は撃退したとのことだ。
ウクライナ軍タヴリーシク部隊集団報道官オレクサンドル・シュトゥプン大佐の報告によると、ロシア軍はアウジーウカへの第3波攻撃を開始する予定でおり、まもなく攻撃準備射撃を強化する可能性があることを、ウクライナ軍は予想して、それに備えているとのことだ。ロシア軍はアウジーウカ方面で過去2日間、重軍事装備を積極的に用いておらず、この地域での航空機の投入も減らしており、歩兵の投入がますます増えていると、シュトゥプンは指摘している。それに加えて、ロシア軍の「シュトルム」並びに「シュトルムZ」突撃部隊の甚大な損失が続いており、これら部隊の一部では、現在、もともとの兵員数の10〜15%しか残っていないということも、シュトゥプンは伝えている。
ドネツィク市方面
報告書原文抜粋(英文)
日本語訳
ロシア軍は最近、マリインカ(ドネツィク市の西に隣接する集落)内で、ドネツィク市から西方及び南西の方向にわずかだが前進した。撮影地点特定済みの11月17日公開動画によって、ロシア軍がマリインカの北西区画内で少し占領地域を広げたことが分かる。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、ロシア軍はマリインカ付近とノヴォミハイリウカ付近(ドネツィク市から南西に9km)でロシア軍の攻撃を撃退したとのことだ。同軍参謀本部はまた、ヴォディヤネ(ヴフレダルから北東に5km)南方での攻撃を撃退したとも述べている。
11月18日にロシア国防省は、ノヴォミハイリウカ付近でのウクライナ軍の攻撃を、ロシア軍東部部隊集団が撃退したと主張した。