本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年10月24日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。なお、この記事で用いた地図は、ISW制作のものである。ただし、一部、加工してある。また、本記事サムネイル画像は、動画からのスクリーンショットである。
ロシア軍、国産ドローンの使用が増えている模様
日本語訳:
ロシアはウクライナのインフラ攻撃に際して、シャヘド131/136型ドローンを補完するために、より安価で軽量な各種国産ドローンの使用を増やしている模様だ。10月23日、ロシア・メディアは、ロシア軍がキーウ州へのドローン攻撃の際に、新型長距離ドローン「イタルマス」とその派生型を初めて投入したようだという憶測を示した。複数のロシア側情報筋は、イタルマスはシャヘドよりも軽量で、探知・撃墜されにくいと指摘した。複数のロシア軍事ブロガーのコメントによると、イタルマスはシャヘドよりも安価であり、そのため、製造及び使用をさらに広げていくことが可能になるとのことだ。ただし、イタルマスはシャヘドよりも積載重量が軽く、単独使用での有用性は限られているとも指摘している。そうであるがゆえに、ロシア側情報筋は、ロシア軍が今後、イタルマスをシャヘドと同時に使用することになる可能性が高いと述べている。ISWが以前、評価分析したように、ロシア軍は秋冬シーズンに先立つウクライナの重要インフラ攻撃のために、ドローン、ミサイル、誘導爆弾といった保有兵器の拡大と多種多様化を試みている可能性が高く、イタルマス・ドローンの使用増加は、広範に進められている投射兵器の種類多様化の一環である可能性が高い。
ロシアPMC、戦闘任務で女性を募兵
日本語訳:
報道によると、ロシア国防省系列の民間軍事会社(PMC)「リダウト」が、戦闘任務での女性の募兵を試みているとのことだ。ロシアの政権批判的メディア「iStories」の調査報道によって10月23日に明らかになったのは、リダウトの「ボルツ」大隊が狙撃手及びドローン操縦手のような戦闘任務での女性募集の広告を始めたということだ。iStoeiesによると、現在ロシア軍で任務についている女性の大半は、主に看護兵や料理兵のような戦闘支援の役割で活動しており、そうであるため、伝統的に男性が担ってきた戦闘任務に女性が以前よりも多く現れていることは注目に値するとのことだ。2023年3月、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、約1,100人の女性兵士がウクライナの戦闘地域で任務についていると発表した。そして、ロシア国防省はここ最近の数カ月間、女性を狙った募兵の取り組みを強化している模様だ。
前線の動向:ウクライナ戦況地図(1500 ET 24.10.2023)の抄訳
日本語訳(*番号は記事末地図中の丸数字と対応):
10月23日投稿の動画で、撮影地点特定が可能なものによって、ロシア軍がアウジーウカ北方の石炭屑集積場へと進んだことが分かる。(アウジーウカ〜ドネツィク市方面)
10月23日、ロシア側情報筋の一つは、ロシア軍がヴァシュキウカを占領したと主張した。(バフムート方面)
10月23日投稿の動画で、撮影地点特定が可能なものによって、ウクライナ軍がアンドリーウカ付近で鉄道線の東側へと進んだことが分かる。(バフムート方面)
10月23日投稿の動画で、撮影地点特定が可能なものによって、ロシア軍がプリユトネの北方で前進したことが分かる。(ドネツィク・ザポリージャ州境方面)
10月24日投稿の動画で、撮影地点特定が可能なものによって、ウクライナ軍がロボティネ西方で前進したことが分かる。(ザポリージャ州西部方面)