Russian Offensive Campaign Assessment, August 14, 2024, ISW ⬇️
ロシア領クルスク方面戦況
◆ 戦争研究所(ISW)報告書の一部日本語訳
ロシア軍事ブロガーの主張によると、ウクライナ軍の作戦遂行のテンポが徐々に落ちていくなか、同軍はクルスク州内でわずかに前進したとのことだ。一方でロシア軍はその間、この地域の戦線安定化の試みを続けているとのことだ。ウクライナ・メディア「ススピーリネ」は8月14日に、ウクライナ軍内の情報源の発言を伝えるかたちで、クルスク州でのウクライナ軍進撃テンポはゆっくりとしてものになっており、その理由はクルスク市方面でのロシア側の抵抗が増していることにあると報じた。ロシア軍事ブロガーは、ロシア軍がクルスク州の戦線を徐々に安定化させているところだと主張したうえで、詳細不明のロシア軍増援部隊が詳細不明の地域から到着しており、この地域にすでに展開しているロシア軍部隊との通信連絡を確立しつつあると主張した。ロシア軍事ブロガーは、ウクライナ軍がクラスノオクチャブルスコエ[Krasnooktyabrskoe](コレネヴォ[Korenevo]から南西方向で、国境から15km離れた地点)に進入したと主張した。8月13日に公開された撮影地点特定可能な動画に、ジュラヴリ[Zhuravli](コレネヴォの西方で、国境から20km離れた地点)の区画内東部で行動するウクライナ軍が撮影されており、このことから、ウクライナ軍がジュラヴリの東側で前進したことが分かる。ロシア国防省とそれ以外のロシア側情報筋の主張によると、スクリレフカ[Skrylevka]周辺、レフシンカ[Levshinka]周辺、セミョノフカ[Semenovka]周辺、アレクセーエフスキー[Alekseevsky]周辺(いずれもコレネヴォから北東方向に位置し、国境から27km離れているカウチュク[Kauchuk]の周辺)において、ロシア軍はウクライナ軍の攻撃を撃退したとのことだ。また、ウクライナ軍はスジャ[Sudzha]を制圧していないと、チェチェン「アフマト」スペツナズ部隊司令官アプティ・アラウディノフは主張したが、ほかのロシア側情報筋の一部から、スジャの内部とその周辺で戦闘が続いており、両軍ともにこの居住地域を完全に支配できていないという主張が出ている。あるウクライナ人ジャーナリストがスジャ中心部から報道している様子が、8月14日公開の撮影地点特定可能な動画に映っており、このことから、ウクライナ軍が少なくともスジャ区画内の一部に加え、その周辺の一部を制圧していることが分かる。ススピーリネがウクライナ軍内にもっている情報源は、ウクライナ軍がマルティノフカ[Martynovka](スジャから北東すぐの地点)を越えて前進したと語っているが、ロシア軍事ブロガーはマルティノフカでは依然として戦闘が続いていると主張した。クレムリンに後援されている、ロシアの有名軍事ブロガー・アカウントの一つは、ミハイロフカ[Mikhailovka](ここもスジャから北東すぐの地点)が今でもウクライナ支配下にあると主張しており、過去のいずれかの時点でウクライナ軍がミハイロフカを掌握していたことをほのめかした。8月14日に公開された撮影地点特定可能な動画には、ウラノク[Ulanok](スジャから南東方向)から北西すぐの地点で行動するウクライナ軍が撮影されており、この地域でウクライナ軍が最近、前進したことを示している。8月14日に公開された、別の撮影地点特定可能な動画によって、ウクライナ軍が最近、カミシュノエ[Kamyshnoye](スジャから南東方向)の区画内西部でわずかだが前進したことが分かる。8月13日公開の撮影地点特定可能な動画には、ギリ[Giri]とオゼルキ[Ozerki]から報道する一人のロシア人ジャーナリストが映っているが、その後の8月14日にロシア側情報筋は、ウクライナ軍がギリ周辺とベリツァ[Belisa](ギリの真北)周辺で行動を開始したと主張しており、このことから、ウクライナ軍がカミシュノエ東方の地域を巡って戦闘を続けている可能性が推察できる。8月13日と14日に公開された撮影地点特定可能な動画には、ウクライナ側進出範囲として主張されたのものの最大範囲の十分内側で行動しているウクライナ軍の様子が映っており、このことは、ウクライナ軍がクルスク州内の国境に近い地域でも作戦行動を続けていることを示している。8月14日のロシア軍事ブロガーの主張によると、ウクライナ軍はベルゴロド州のコロティロフカ[Kolotilovka]国境検問所(スジャから南東方向に位置し、ベルゴロド市から北西方向に位置している)からロシア領内に進入しようと試みているが、ロシア軍はその試みを撃退し続けているとのことだ。
※ISWが参照している情報源を確認したい場合は、報告書原文の後注[1]~[14]に記載されたURLにアクセスしてください。
◆ 報告書原文の日本語訳箇所(英文)
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