本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年11月8日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。また、記事中の画像は、ISW制作地図(インタラクティヴ・マップ画像含む)を使用した。なお、画像の一部は加工してある。
アウジーウカ情勢
報告書原文(英文)
日本語訳
ロシア軍は11月8日もアウジーウカ周辺で攻勢作戦を続けた。また、同軍の前進も確認されている。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、カラミク(アウジーウカ北西14km)付近、ステポヴェ(アウジーウカ北西3km)付近、アウジーウカ付近、トネンケ(アウジーウカ北西7km)付近、ペルヴォマイシケ(アウジーウカ南西11km)付近でのロシア軍の攻撃を、ウクライナ軍は撃退したとのことだ。複数のロシア軍事ブロガーは、ヴォディヤネ(アウジーウカ南西7km)周辺のロシア軍がシェヴェルネ(アウジーウカ西方6km)及びペルヴォマイシケの方向でウクライナ軍に圧力をかけていると主張した。あるロシア軍事ブロガーは、ロシア軍がアウジーウカ市南側境界から400m地点の陣地へと進んだと主張したが、ISWはこの主張を証明する映像資料を確認していない。複数のロシア側情報筋は、ロシア軍がステポヴェ付近の鉄道線の近くで前進しているという主張を続けている。一方でウクライナ側情報筋は、ロシア軍がここでの前進のために多くの死傷者を出していると述べている。11月7日にウクライナ軍タヴリーシク部隊集団報道官オレクサンドル・シュトゥプン大佐は、アウジーウカ地域のロシア軍が、装甲車両の支援を欠いた軽歩兵攻撃を行った間に、過去一日で585人の兵力を損失したと発表した。
ロシア軍が大損害と悪天候を物ともせずに、引き続きアウジーウカへの関与を強めていることを、ウクライナ当局者が示している。ウクライナ軍のアントン・コツコン報道官は、ロシア軍がアウジーウカ方面に4万人の「予備兵力」を集結させていると述べたが、この兵力の内どれくらいの人数が攻勢作戦に投じられているのかは不明だ。最近、複数のウクライナ当局者は、ロシア軍がアウジーウカ地域に合計4万人の兵力を保持していると、常々語っている。コツコンの発表によると、ロシア軍は近頃、10〜20人の歩兵グループによる攻撃を続けており、また、ウクライナ側の対砲兵戦要員・装備を特定するために、大量のドローンの使用を続けているとのことだ。ウクライナのアウジーウカ市軍政当局の長であるウィタリー・バラバシは、ロシア軍は第3波アウジーウカ攻撃の実行準備ができている可能性が高いが、悪天候がロシア軍の装備使用を難しくしていくだろうと述べた。
ウクライナ軍は11月8日にアウジーウカ周辺で反撃を行い、その間にわずかだが戦果をあげたことが伝えられている。ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、ウクライナ軍がヴォディヤネ付近のロシア軍展開地点に対する反撃を行った際に、ウクライナ軍が部分的な成功をおさめたと主張した。