本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年11月19日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。なお、初出地名は、Google Mapsとリンクしてある。
(記事サムネイル画像はウクライナ軍参謀本部のFacebook投稿写真を使用した)
アウジーウカ方面
報告原文抜粋(英文)
日本語訳
11月19日、ウクライナ軍はアウジーウカ周辺で反撃を敢行し、わずかではあるが、前進できたことが確認されている。撮影地点特定済みの11月19日公開動画によって、ウクライナ軍がステポヴェ(アウジーウカから北西に3km)から南東方向に位置する鉄道線付近で前進したことが分かる。ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、ウクライナ軍がステポヴェ付近の鉄道線近くの陣地を奪還し、アウジーウカ・コークス工場周辺で反撃を行ったと主張した。
11月19日、ロシア軍はアウジーウカ周辺で攻勢作戦を遂行したが、確認された戦果はなかった。11月18日と19日に複数のロシア軍事ブロガーは、アウジーウカ南東側外周部に位置する工業地区の近く、アウジーウカ・コークス工場付近、クラスノホリウカ(アウジーウカから北西に5km)から北西及び西に位置する鉄道線付近で、ロシア軍が前進したと主張した。11月19日にロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、ロシア軍第114自動車化狙撃旅団(DNR第1軍団)隷下部隊と「シュトルムZ」部隊がアウジーウカの南にある料理店「ツァールスカ・オホタ」付近で前進したと主張したが、その後、この主張に関してほかのロシア側情報筋が異を唱えたのち、その主張を引き下げた。ウクライナ軍参謀本部は、次の地区でロシア軍の攻撃があったが、不成功に終わったと報告した。その地区とは、ノヴォカリノヴェ(アウジーウカから北東に13km)南方、ノヴォバフムティウカ(アウジーウカから北西に9km)東方、シェヴェルネ(アウジーウカから西に6km)付近とアウジーウカ付近とのことだ。11月18日と19日のロシア側情報筋の主張によると、ペルヴォマイシケ(アウジーウカから南西に10km)付近、クラスノホリウカ西方、アウジーウカ北西に位置する石炭屑集積場[ボタ山]の南方、コークス工場の東方でロシア軍は攻撃を行い、また、同軍はノヴォカリノヴェへ向かう攻撃とアウジーウカ南東の工業地区からの攻撃も行ったとのことだ。また、11月18日と19日にロシア側情報筋は、工業地区付近、コークス工場付近、ステポヴェ付近で戦闘が続いていると主張した。ウクライナ軍タヴリーシク部隊集団報道官オレクサンドル・シュトゥプン大佐は11月19日に、ロシア側の逃亡兵と攻撃任務の遂行を拒否する兵員の数が増えていると伝えたうえで、ロシア軍部隊を戦いに向かわせるために、ロシア軍指揮官は肉体的な暴力手段や逃亡阻止部隊を用いざるを得なくなっていると報告した。シュトゥプンのコメントによると、ロシア軍はアウジーウカ周辺で甚大な損失を被っており、動員兵や刑務所から募兵した兵士を使わざるを得なくなっているとのことだ。
*注:
ウクライナ・ロシア双方の支配領域の詳細に関しては、以下のISWインタラクティブ・マップを参照のこと。