【抄訳】戦争研究所「ロシアによる攻勢戦役評価」2024.11.24 - 要点(Key Takeaways)
Russian Offensive Campaign Assessment, November 24, 2024, ISW ⬇️
要点(Key Takeaways)
◆ 日本語訳
ロシア軍が最近、ヴフレダル[Vuhledar]周辺及びヴェリカ・ノヴォシルカ[Velyka Novosilka]周辺の戦場で戦果をあげたことが確認されており、このことはウクライナにおける戦争が膠着状態ではないことをまざまざと示している。ドネツィク州戦線はますます流動的な様相を呈しており、そのなかでロシア軍は最近、2023年全体と比較して、かなり迅速なペースで進撃を続けている。
ポクロウシク[Pokrovsk]、クラホヴェ[Kurakhove]、ヴフレダル、ヴェリカ・ノヴォシルカの各方面におけるロシア軍の進撃は、今後数週間、数カ月の間に試みる可能性のある行動方針(COA)[Coyrse of Action]を複数、ロシア軍統帥部に示し与えている。
COA 1:ロシア軍はヴェリカ・ノヴォシルカから南東・東・北東の方向で前進し、この集落を側面から包囲することで、ヴェリカ・ノヴォシルカからすぐ南側の地区を迂回する。
COA 2:クラホヴェ周辺のウクライナ側支配ポケット地域の後方を遮断し、戦線をまっすぐ平らにするというロシア軍の取り組みを支援するために、同軍は(クラホヴェの西方、H15高速道路沿いに位置する)アンドリーウカ[Andriivka]へと南側から前進する。
COA 3:ロシア軍はセリドヴェ[Selydove]の西方向と南西方向において、プスティンカ[Pustynka]~ソンツィウカ[Sontsivka]線からアンドリーウカ[Andriivka]方向に向かって前進する。その目的は、クラホヴェから北の方向にあるウクライナ側支配ポケット地域を潰すことと、ウクライナ軍の退路を脅かすことにある。
ロシア側の以前からの目標であるドネツィク州全土占領を支えていく意図で、ロシア軍統帥部は現在、ドニプロペトロウシク州の最南東部内へと前進する策を、計画している最中にあると思われる。
ロシア軍中央・東部・南部の各軍管区(CMD、EMD、SMD)に所属する部隊は、ドネツィク州において、相互支援関係にある攻勢作戦を同時並行的に遂行しているところであり、ここ最近、比較的迅速に戦術レベルでの前進を続けている。開戦から3年目に入り、ロシア軍統帥部が戦場で犯した過ちの一部から教訓を得ている可能性がある。ただし、ロシア軍がどの程度、教訓を得て活かしているかについては、今のところはっきりと分かっていない。
ロシア軍統帥部は今までよりも複雑な作戦を計画している模様であるが、ロシア軍はまだ作戦レベルの機動戦を行う能力を取り戻せていない。今までのところロシア軍は、作戦的機動戦を遂行するのではなく、ウクライナ軍防衛網の弱点を探り当て、そこにつけ込む能力に頼るかたちで、戦術レベルで少しずつ前進し続けている。
11月23日から24日にかけての夜間、ウクライナ軍はクルスク州内の詳細不明の地点に配置されたロシア軍S-400防空システムのレーダーを攻撃した。
ロシアとイラン、そしてイランが支援するフーシ派との間の協力関係が深化するなか、ロシアがイエメン国籍者を数百人集めて、ロシア軍内で戦闘任務に就かせていたことが報じられている。
ウクライナ・ロシアの両軍は最近、クルスク州内でウクライナが支配する主突出部地域で、それぞれ前進した。
ロシア軍は最近、クプヤンシク[Kupyansk]周辺、ポクロウシク周辺、ヴフレダル周辺、ヴェリカ・ノヴォシルカ周辺で前進した。一方でウクライナ軍は最近、クルスク州内でウクライナ側が支配する主突出部地域で前進した。