【抄訳】戦争研究所「ロシアによる攻勢戦役評価」2024.08.23 - ドネツィク州トレツィク方面・ポクロウシク方面戦況
Russian Offensive Campaign Assessment, August 23, 2024, ISW ⬇️
ドネツィク州トレツィク方面・ポクロウシク方面戦況
◆ 戦争研究所（ISW）報告書の一部日本語訳
米国東部時間2024年８月23日15:00時点
（戦争研究所）
ロシア軍が８月23日もトレツィク［Toretsk］地域での攻勢作戦を続けるなか、同軍はここ最近、トレツィク付近で前進できている。８月23日に公開された動画のなかの撮影地点特定可能な画像によって、ロシア軍が最近、トレツィク区画内南東部において前進したことが分かる。ロシア側情報筋は、ロシア軍がトレツィク区画内東部の中央病院にまでも前進したと主張したが、この主張を裏付けるものをISWは確認できていない。ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、ロシア軍がトレツィク区画内において、幅750メートル、縦深800メートルの範囲で前進したと主張した。なお、８月22日と23日にロシア軍が攻勢作戦を遂行した地点は、トレツィク付近、トレツィク東方に位置するピウニチネ［Pivnichne］付近とドルジュバ［Druzhba］付近、トレツィク南方に位置するネリピウカ［Nelipivka］付近とニウ・ヨルク［Niu York］付近である。
米国東部時間2024年８月23日15:00時点
（戦争研究所）
ロシア軍が８月23日もポクロウシク東方地域での攻勢作戦を続けるなか、同軍はここ最近、ポクロウシク方面で前進できている。８月22日に公開された動画のなかの撮影地点特定可能な画像によって、ロシア軍がオルリウカ［Orlivka］（ポクロウシクから南東方向）の西方で前進したことが分かる。これとは別の８月23日公開の動画に映っている撮影地点特定可能な画像によって、ロシア軍がノヴォフロディウカ［Novohrodivka］（ポクロウシクから南東方向）区画内東部において前進したことが分かる。ロシア軍事ブロガーの主張によると、ロシア軍はノヴォフロディウカ区画内東部で最大400メートル、ノヴォフロディウカ区画内南部で最大500メートル前進し、それに加えて、ノヴォフロディウカ区画内南東部でも前進したとのことだ。また、ロシア軍事ブロガーは、ポクロウシクから南東方向の地点で作戦遂行中のロシア軍がクルティー・ヤール［Krutyi Yar］を制圧したと主張したうえで、オルリウカの西方、クラスニー・ヤール［Krasnyi Yar］区画内南東部、ミコライウカ［Mykolaivka］の南方、スクチネ［Skuchne］の西方、ミハイリウカ［Mykhailivka］方向、プティチェ［Ptyche］から南西及び南東の地点で、ロシア軍がさらに前進したと主張した。さらに、ロシア軍がカリノヴェ［Kalynove］（ポクロウシクから南東方向）を制圧したという未確認情報があると、ロシア側情報筋の一つは主張している。だが、これらのロシア側の主張を裏付けるものを、ISWは確認できていない。８月22日と23日にロシア軍が攻勢作戦を継続した地点は、ポクロウシク東方のヴォズドヴィジェンカ［Vozdvyzhenka］付近とゼレネ・ポレ［Zelene Pole］付近、ポクロウシクから南東方向に位置するカリノヴェ付近、ノヴォフロディウカ付近、プティチェ付近、ミコライウカ付近、カルリウカ［Karlivka］付近である。ウクライナ治安当局関係者の話として、『エコノミスト』が８月22日に伝えたところによると、ロシア軍統帥部はウクライナ東部戦線のどこかの地区から部隊を引き抜き、クルスク州へと再配置しているけれども、それはポクロウシクからではなく、また、ロシア軍は最近、何らかの増援をポクロウシク方面に投入しているとのことだ。
※ISWが参照している情報源を確認したい場合は、報告書原文の後注［64］～［74］に記載されたURLにアクセスしてください。
◆ 報告書原文の日本語訳箇所（英文）
Russian forces recently advanced near Toretsk amid continued Russian offensive operations in the area on August 23. Geolocated footage published on August 23 indicates that Russian forces recently advanced within southeastern Toretsk. Russian sources claimed that Russian forces also advanced to the Central Hospital in eastern Toretsk, but ISW has not observed confirmation of this claim. A Russian milblogger claimed that Russian forces advanced along a front 750 meters wide and 800 meters deep within Toretsk. Russian forces conducted offensive operations near Toretsk, east of Toretsk near Pivnichne and Druzhba, and south of Toretsk near Nelipivka and Niu York on August 22 and 23.
Russian forces recently advanced in the Pokrovsk direction amid continued Russian offensive operations in the area on August 23. Geolocated footage published on August 22 indicates that Russian forces advanced west of Orlivka (southeast of Pokrovsk). Additional geolocated footage published on August 23 indicates that Russian forces advanced within eastern Novohrodivka (southeast of Pokrovsk). Russian milbloggers claimed that Russian forces advanced up to 400 meters within eastern Novohrodivka, up to 500 meters within southern Novohrodivka, and within southeastern Novohrodivka. Russian milbloggers claimed that Russian forces operating southeast of Pokrovsk seized Krutyi Yar and advanced further west of Orlivka, within southeastern Krasnyi Yar, south of Mykolaivka, west of Skuchne, towards Mykhailivka, and southwest and southeast of Ptyche. A Russian source claimed that there are unconfirmed reports that Russian forces seized Kalynove (southeast of Pokrovsk). ISW has not observed confirmation of these Russian claims, however. Russian forces continued offensive operations east of Pokrovsk near Vozdvyzhenka, Zelene Pole, and Hrodivka and southeast of Pokrovsk near Kalynove, Novohrodivka, Ptyche, Mykolaivka, Mykhailivka, Novohrodivka, and Karlivka on August 22 and 23. The Economist reported on August 22 that Ukrainian security sources stated that the Russian military command has redeployed troops from unspecified sectors of the frontline in eastern Ukraine to Kursk Oblast but not from Pokrovsk and that Russian forces have recently committed unspecified reinforcements to the Pokrovsk direction.
関連情報（クルスク州方面戦況）
ウクライナ軍のクルスク州進攻
米国東部時間2024年８月23日15:00時点
（戦争研究所）
※訳者による加筆あり
地図中の❶・❷箇所の日本語訳
８月22日にロシア側情報筋の一つは、マルティノフカ［Martynovka］の北方でウクライナ軍がP-200高速道路に沿って前進したと主張した。
８月22日投稿動画のなかの撮影地点特定可能な画像によって、ウクライナ軍がルスカヤ・コノペリカ［Russkaya Konopelka］区画内で前進したことが分かる。