本記事は、戦争研究所(ISW)の2024年4月12日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。
ロシア軍、極東方面の兵力をウクライナに投入か
報告書原文からの引用(英文)
日本語訳
ロシアは現在国内に駐屯している東部軍管区(EMD)所属兵員約2,400人をウクライナでの戦闘に送り込むつもりでいる模様だ。その目的は、前線での人員損失を埋め合わせることにある。ウクライナ国防省情報総局(GUR)の4月12日付発表によると、ロシアはおそらく、太平洋艦隊(EMD)と第11航空・防空軍(ロシア航空宇宙軍[VKS]及びEMD)に所属する兵員を、ロシア軍の人的損失を埋め合わせる目的で、ウクライナに投入するつもりでいるとのことだ。太平洋艦隊司令官ヴィクトル・リーナ海軍大将が、シリアに向けた兵力ローテーションをすべて停止し、沿海地方とカムチャツカ地方からウクライナへ約2,000人の兵員を送ることを決めたと、GURは指摘した。この2,000人の将兵すべてが、もともとシリアに投入されることになっていたのかどうかに関して、GURは明らかにしていない。太平洋艦隊はシリア領タルタスの海軍基地で行動しているが、シリアに向けた太平洋艦隊の兵員ローテーションの終焉が、同艦隊のアセットをシリアからウクライナやほかの場所へ、より大規模に移送することの先駆けになっていくのかどうかに関しても、はっきりと分からないままだ。GURによると、ロシアは第11航空・防空軍の兵員約400人を、ハバロフスク地方からウクライナに移送するつもりでいるとのことで、定数不足状態の第155及び第40海軍歩兵旅団(太平洋艦隊及びEMD)隷下部隊が行動中の前線地区で「穴を塞ぐ」ことを目的としているとのことだ。第155海軍歩兵旅団隷下部隊は現在、ノヴォミハイリウカ[Novomykhailivka]付近で任務に就いており、一方で第40海軍歩兵旅団隷下部隊は現在、ヴェリカ・ノヴォシルカ[Velyka Novosilka]付近で任務に就いている。また、EMD所属の人数不明の兵員が、ロシアが目下、ヴォロネジで編成を進めている詳細不明の新規旅団に加わることになる見込みだと、GURは指摘している。