本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年11月28日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。
アウジーウカ方面の戦況
報告書原文の一部引用(英文)
日本語訳
ロシア軍は11月28日もアウジーウカ方面で攻勢作戦を続けた。また、同軍の前進が確認されている。撮影地点特定済みの11月28日公開動画によって、ロシア軍がアウジーウカの南東に位置する工業地区内でわずかに前進したことが分かる。あるロシア軍事ブロガーの主張によると、ロシア軍が工業地区内で前進できた主な理由は、同軍が第239戦車連隊(中央軍管区[CMD]第41諸兵科連合軍[CAA]第90戦車師団)の装甲車両を前線に送り込んだことにあるという。なお、ISWは11月6日に、ロシア軍が第239戦車連隊に所属する戦力の低下した部隊をアウジーウカ地区に投入したことを報告している。また、ウクライナ軍参謀本部が報じたウクライナ軍によるロシア軍攻撃撃退地区は、ノヴォバフムティウカ(アウジーウカから北西に13km)の東方、ベルディチ(アウジーウカから北西に7km)から北東の方向、アウジーウカ付近、ステポヴェ(アウジーウカから北に3km)付近、オピトネ(アウジーウカから南に4km)付近、シェヴェルネ(アウジーウカから西に6km)付近、ペルヴォマイシケ(アウジーウカから南西に11km)付近、そしてトネンケ(アウジーウカから西に7km)の南方である。ロシア軍事ブロガーのなかには、ロシア軍がアウジーウカ・コークス工場の東方で1.5km前進したと主張した者もいる。ウクライナ人軍事評論家のコンスタンティン・マショヴェツは、ロシア軍第55自動車化狙撃旅団(CMD第4CAA)がオピトネ付近で攻撃を仕掛けて失敗し、ロシア軍第35親衛自動車化狙撃旅団(CMD第41CAA)がヴォディヤネ(アウジーウカから南西に7km)付近とピスキー〜ペルヴォマイシケ線(アウジーウカから南西に8〜11km)沿いで攻撃を仕掛けて失敗したと主張した。複数のロシア軍事ブロガーは、ノヴォカリノヴェ(アウジーウカから北に7km)の南方とクラスノホリウカ(アウジーウカから北西に6km)付近で戦闘が続いていると主張している。これらとは別の軍事ブロガーは、ロシア軍がアウジーウカ南方の葡萄園を完全に占領したというロシア側の主張を否定した。11月27日、クレムリンと関係のある有名ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、ロシア軍が兵力保全のためにステポヴェ外周部から撤退したと主張した。一方でほかの軍事ブロガーは、この集落での戦闘が続いていると主張している。なお、ウクライナ軍参謀本部の発表によると、ロシア軍はアウジーウカ方面で甚大な装備損失を被ったのち、小規模な歩兵グループで攻撃を行っているとのことだ。
また、複数のロシア側情報筋は、ウクライナ軍が11月27日と28日にステポヴェ付近で反撃を行い、それに失敗したと主張した。