本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年11月02日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。また、使用した地図は、ISW制作地図(インタラクティヴ・マップ含む)とGoogle Earth画像である。ただし、一部、加筆加工がしてある。
ロシア軍アウジーウカ攻勢の現状
日本語訳:
ロシア軍は11月2日もアウジーウカ周辺での攻勢作戦を続けたが、裏付けのとれた戦果は確認されていない。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、ウクライナ軍はアウジーウカ周辺でのロシア軍の前進を食い止め続けたとのことで、シェヴェルネ(アウジーウカ西方6km)付近、トネンケ(アウジーウカ西方8km)付近、ペルヴォマイシケ(アウジーウカ南西11km)付近でのロシア軍の攻撃を撃退したとのことだ。ウクライナ軍タヴリーシク部隊集団報道官オレクサンドル・シュトゥプン大佐は、ロシア軍が主に小規模の歩兵グループを用いて攻撃を遂行していると述べた。シュトゥプンはまた、アウジーウカ周辺でのロシア軍の作戦テンポは下がりつつあり、それは同軍が再編成を進めているからであって、また、増援を必要としているからでもあると述べている。アウジーウカ市軍政当局の長であるウィタリー・バラバシは、現在のロシア軍の重点はアウジーウカ方面北翼にあり、この地域での豪雨にも関わらず、攻撃任務を継続して遂行していると語った。あるウクライナ人軍事ウォッチャーによると、ロシア軍はステポヴェ(アウジーウカ北3km)付近で鉄道線を渡ったとのことで、ロシア軍は現在、この新たに占領した地点から、アウジーウカ北のアウジーウカ・コークス工場に攻撃を仕掛ける準備を進めているとのことだ。ロシアのニュース・アグリゲーターの一つは、ロシア軍が11月1日にアウジーウカ・コークス工場まで前進したと主張した。あるロシア軍事ブロガーは、ロシア軍が11月1日にアウジーウカ・コークス工場を目標に、ミサイル攻撃と航空攻撃を組み合わせた攻撃を実施したと主張したが、ウクライナ軍防空部隊がロシア軍によるこの地域への激しい空襲を妨げているとも述べている。上述のウクライナ人軍事ウォッチャーはまた、ロシア軍がオピトネ(アウジーウカ南4km)付近の陣地への支配範囲を広げていると述べた。ロシアの有名軍事ブロガー・アカウントの一つは、ロシア軍がアウジーウカ南西外周部に接近し、また、シェヴェルネから1kmの地点まで近づいたと主張しているが、ISWはこれらの主張を裏付ける映像資料を確認していない。