【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.11.21
日本語訳
ウクライナ侵略以前、ロシアは、複雑な作戦任務を遂行できる現代的で専門性の高い軍隊をつくり上げようと試みていた。1,000日にわたる長期武力衝突を経たのち、ロシア地上軍は、ウクライナ侵攻当初とは根本から異なる軍隊に変容している。
死者及び負傷者が合計で70万人超に及んでいるロシア側の人的損失は、ロシア軍の質を著しく低下させ続けている。現在、ロシア軍で任務に就いている兵卒の大部分は、最低限の訓練しか受けていない。そして、ロシア軍指揮官は進撃するために初歩的な戦術を用いている。けれども、それに伴って死傷率は高い。
ロシアは少なくみても3,500両の主力戦車と7,500両の装甲車両を失っている。ソヴィエト連邦から受け継いだ遺産として、戦車及び装甲車両の大量備蓄があり、ロシアが大損失を埋め合わせられる唯一の手段となっているのが、これらの備蓄である。
ロシア地上軍が大きな犠牲を払っているにもかかわらず、ウクライナ領内におけるロシア軍の占領地拡大は、2024年を通して加速している。このロシア軍の進撃を支えているのは、ロシア指導部の人的損失に対する耐性の強さである。また、ロシア軍のウクライナ軍に対する相対的な数的優勢も、ロシア軍の進撃を支えている。前線は現在、この長期化した武力衝突が始まって以降のどの時点よりも、安定さを欠いている。