本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年10月7日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、日本語に翻訳したものである。なお、この記事中の地図は、ISW制作のものを使用している。
ルハンシク州方面(ロシア軍動静)
日本語訳:
ロシア軍は10月7日もクプヤンシク〜スヴァトヴェ〜クレミンナ線沿いで攻勢作戦を続けた。また、同軍の前進が報告されている。ロシア軍事ブロガーの一人は、ロシア軍が10月6日にヤヒドネ(クプヤンシク南東22km)付近において最大で1km前進したという主張を大きく取りあげた。ロシアのニュース・アグリゲーターの一つが示した見解によると、ロシア軍はシンキウカ(クプヤンシク北東8km)付近、イヴァニウカ(クプヤンシク南東20km)付近、コトリャリウカ(クプヤンシク南東22km)付近でも前進したとのことだ。ロシア軍の「シュトルム・オセチア」「アラニア」両志願兵大隊は、ロシア軍がクプヤンシク方面で最大500m前進したと主張した。ウクライナ軍参謀本部の10月7日付報告によると、ロシア軍はハルキウ州シンキウカとイヴァニウカ、ルハンシク州マキイウカ(クプヤンシク南東60km、クレミンナ北西約22km)の各周辺で攻撃を行ったが、不成功に終わったとのことだ。ロシア軍事ブロガーの一人は、ロシア軍がクプヤンシクとリマンの両方面で「大規模な」攻勢を実施したと主張した。複数のロシア軍事ブロガーは、ロシア軍がシンキウカ付近とマキイウカ付近で攻勢作戦を実施したと主張している。ロシア軍事ブロガーの一人は、ロシア軍がクプヤンシク方面において、オスキル川渡河地点を打撃し続けていると主張した。
あるウクライナ人軍事ウォッチャーが、クプヤンシク方面で行動中のロシア軍部隊に関するさらなる詳細情報を、10月7日に示した。このウォッチャーによると、ロシア軍第79自動車化狙撃連隊(バルト艦隊第11軍団第18親衛自動車化狙撃師団)がイヴァニウカ(クプヤンシク北東28km)とヴェリキー・ヴィセロク(クプヤンシク北東23km)の東方の前線へと近づき始めたという。また、クプヤンシク方面において、ロシア軍第11軍団がロシア軍西部部隊集団の予備戦力の中心になっていると、このウォッチャーは指摘している。そして、ロシア軍統帥部は少なくとも2個の戦術規模の混成分遣部隊を展開しており、それぞれが1個大隊相当の戦力で、「シュトルムZ」中隊によって構成されているという情報も加えて指摘した。このウォッチャーによると、ロシア軍は次の編制に属する部隊もこの方面に集結させているという。第448ミサイル旅団(西部軍管区第20諸兵科連合軍[CAA])、第9親衛砲兵旅団(西部軍管区第6CAA)、第45大火力砲兵旅団(西武軍管区)、第224砲兵旅団(バルト艦隊第11軍団)、第288砲兵旅団(西部軍管区第1親衛戦車軍)、第147親衛自走砲兵連隊(西部軍管区第1親衛戦車軍第2親衛自動車化狙撃師団)。また、上述の情報に加えて、クプヤンシク方面での次のロシア軍攻撃に参加する可能性の高い部隊として、この軍事ウォッチャーは次の編制に属する部隊をあげた。第138自動車化狙撃旅団(西部軍管区第6CAA)、第1親衛自動車化狙撃連隊(西部軍管区第1親衛戦車軍第2親衛自動車化狙撃師団)、第15自動車化狙撃連隊(中央軍管区第2親衛CAA)。
バフムート方面(ウクライナ軍動静)
日本語訳:
ウクライナ軍は10月7日もバフムート方面での攻勢作戦を継続した。また、同軍がアンドリーウカ(バフムート南西8km)の東で前進したことが伝えられている。ウクライナ軍参謀本部は、アンドリーウカ東方でのウクライナ軍の局地的な成功を伝え、ウクライナ軍東部部隊集団報道官イリヤ・イェウラシュ大尉は、ウクライナ軍がここ数日間でバフムート周辺の各所において、100〜300mの範囲の前進を成し遂げたと述べた。複数のロシア軍事ブロガーの主張によると、ウクライナ軍は、アンドリーウカとクリシチーウカ(バフムート南西6km)の東方に位置する鉄道線付近のロシア軍防衛網を突破しようと引き続き努めているが、それに成功していないとのことだ。
ザポリージャ州西部方面(ウクライナ軍動静)
日本語訳:
ウクライナ軍は10月7日もザポリージャ州西部で攻勢作戦を続けた。また、同軍の前進が伝えられている。ウクライナ軍関係筋の報告によると、ウクライナ軍はコパニ(ロボティネ北西5km)の北方と、ノヴォプロコピウカ(ロボティネ南方2km)の北方で、部分的にうまく進捗しているとのことだ。複数のロシア軍事ブロガーは、ウクライナ軍がヴェルボヴェ北西での攻撃を再開したのち、ロボティネ〜ヴェルボヴェ線沿いでの戦闘が激化していると主張した。ロシア軍事ブロガーの一部は、ウクライナ軍がノヴォプロコピウカ北方でも限定的な攻撃を行ったと報じたうえで、オリヒウ南方の状況を、困難さが絡み合って緊迫した状況と概ね位置づけている。
要点(“Key Takeaways”)から一部抜粋
日本語訳:
(以下、略)