【SNS英文投稿和訳】ウクライナ戦況:ドネツィク州南部 2024.12.22(ジョン・ヘリン氏[BLACK BIRD GROUP])
上記リンク先から始まるXとBlueskyでの連続投稿が扱っている内容は、ウクライナ領ドネツィク州南部の戦況分析です。投稿者のジョン・ヘリン氏は、フィンランドのOSINT分析チーム「ブラック・バード・グループ」のメンバーの方です。ヘリン氏は、SNS等でロシア・ウクライナ戦争に関する評価分析を発信されています。
このSNS投稿の翻訳が、この記事になります。
X投稿とBluesky投稿に内容にかかわるような大きな違いはありませんが、微妙な相違点があることから、Blueskyよりあとに投稿したと思われるX投稿をもとに翻訳を行いました。
また、この翻訳で使用した画像は、ヘリン氏がX投稿で添付されたものを転載して使用しています。
X投稿の日本語訳
ロシア軍の最近の進撃に伴い、危機的状況にある突出部がドネツィク州南部で2箇所、生じつつある。
ヴェリカ・ノヴォシルカ[Velyka Novosilka]とクラホヴェの2箇所において、ウクライナ軍の補給路が大きな脅威にさらされている。
この取り急ぎの連続投稿のテーマは、ドネツィク州南部の情勢である。
情勢全般:12月にロシア軍の前進ペースは遅くなったとはいえ、ドネツィク州南部におけるロシア軍の前進はこれまで同様に続いている。
上記地図の濃い赤色は、12月に入った時点での情勢を示している。他方で薄い赤色は、ロシア軍の前進を示している。
最も厳しい情勢が生じているのがクラホヴェ突出部方面で、ここにおいてロシア軍は突出部の南北両側面で前進中である。
当地のウクライナ軍の状況はとりわけ危機的である。それは、兵站ルートが限られているからだ。
ここの突出部はヴォウチャ[Vovcha]川とスヒ・ヤリ[Sukhi Yaly]川によって囲われており、クラホヴェに向かう主要道路は1本しかなく、クラホヴェに通ずる橋も一つしかない。
ロシア軍はこの道路に向かって、ウラクリ[Ulakly]周辺とダチネ[Dachne]周辺という南北それぞれの方向から迫りつつある。
ウクライナ側のウェブ情報筋は、この主要道路に対するロシア軍のドローン攻撃と、常に捕捉できない「火力による制圧」について、もうすでに議論を交わしている。
実情がどうであれ、クラホヴェ突出部のウクライナ軍は現在、包囲されるという明白な危機のもとに置かれている。
クラホヴェから南西の方向において、もう一つ別のポケット状地帯が形成されている。それはヴェリカ・ノヴォシルカの周辺だ。
この地区でロシア軍はモクリ・ヤリ[Mokri Yaly]川の西岸と、ヴェリカ・ノヴォシルカから東方向の地点に進出しており、ウクライナ側補給路に迫りつつある。
ロシア軍はノヴィー・コマル[Novyi Komar]という村落を通る北方補給路を遮断してしまっている。そして、ヴェリカ・ノヴォシルカに向かって流れる道路のうち最後に残ったものである、ヴレミウカ[Vremivka]の西方に通っている道路に、ロシア軍は接近しているところだ。
ロシア軍はまた、モクリ・ヤリ川にかかる複数の橋を攻撃している。
こうすることで、ヴェリカ・ノヴォシルカという町は、ヴレミウカやネスクチネ[Neskuchne]といった村落から、そして、ほかのウクライナ側支配地域から、事実上、切り離されている。
今後、ヴェリカ・ノヴォシルカへの補給を、応急的な渡河手段を設けることによって進める必要が生じることになる。
結論:クラホヴェとヴェリカ・ノヴォシルカのそれぞれの主要兵站ルートに及んでいる脅威は、ウクライナ軍にとっての難題になっていく。
軽装備の部隊を補給するのは、ドローンで可能であるし、歩兵は道のない野外を通って後退することができる。だが、それらは危険なことである。
他方、仮にロシア軍がこの両突出部からウクライナ軍を撤退させるのに十分なほど進撃した場合、いたるところでみられる12月特有の気候とロシア軍のドローンによる監視によって、湿った野外地を通るかたちで、残った重装備の引き上げを行うことは、骨の折れる任務になる。
ウクライナ軍は再び、突出部内に包囲されるという脅威に直面しているが、この脅威はここ数週間で表面化してきたものだ。
ウクライナはこれまで、幸運に恵まれてきた。つまり、破局的事態の回避ができてきたということだ。しかし、幸運が続くことに頼るべきではない。
投稿は少ないのですが、私たち「ブラック・バード・グループ」は日々、ロシアによるウクライナ侵略をモニターし続けています。私たちはまた、寛大な助成金をご提供くださるジェニー&アンッティ・ウィフーリ財団に感謝の意を示したく存じます。この助成金によって、私たちのプロジェクトは継続できています。