本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年11月10日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。なお、本記事のサムネイル画像はウクライナ国防省情報総局の発表から使用した。
ウクライナ軍、ロシア黒海艦隊艦艇を攻撃
報告書原文抜粋(英文)
日本語訳
ウクライナ国防省情報総局(GUR)は、ウクライナ軍の水上攻撃ドローンが11月10日に、ロシア占領下クリミアでロシア黒海艦隊(BSF)の小型揚陸艇2隻を沈めたと発表した。GURは衛星画像を公開したうえで、ウクライナ軍の水上攻撃ドローンがロシア占領下クリミアのチョルノモルシク[Chornomorsk]に近いウズカ湾[Uzka Bay]を攻撃し、プロジェクト1176アクラ級小型揚陸艇1隻とプロジェクト11770セルナ級小型揚陸艇1隻を撃沈したと報じた。GURの報告によると、セルナ級艦艇には乗組員1名が乗船しており、複数の装甲車両が積まれていたとのことで、その装甲車両には複数両のBTR-82装甲兵員輸送車が含まれていたということだ。また、ロシア軍が以前、海上防空装備を欠いた際の攻撃において、黒海艦隊に防空支援を与える目的でセルナ級艦艇を用いたことも、GURは伝えている。クレムリンと関わりのある有名軍事ブロガー・アカウントの一つは、ウクライナ軍が4艇の無人艇でウズカ湾攻撃を行ったと主張し、この攻撃が、11月10日にロシア占領下クリミアに対して3箇所で実施された、一連のウクライナ軍攻撃の一つだったと主張した。この軍事ブロガーの主張によると、ウクライナ軍はフェオドシアの石油貯蔵庫へのドローン攻撃も試み、チェルノモルシクにあるBSF兼連邦保安庁(FSB)基地へのネプチューン巡航ミサイル1発による攻撃も試みたということだ。ロシア国防省は、ロシア防空部隊がクリミア沖の黒海上空でネプチューン・ミサイル1発の迎撃に成功し、クリミア上空でドローン2機の迎撃に成功したと主張した。ISWの評価はこれまで同様、次の評価となる。2023年6月以降、ウクライナ軍はロシア占領下クリミアのロシア側軍事施設、主にBSFのアセットを狙った阻止攻撃作戦の遂行を継続しており、その目的は、ウクライナ南部でのロシア軍作戦行動の中間準備地域・後方支援地点として、ロシア軍がクリミアを用いることを困難にしていくことにある。