【報告抄訳】ISW(戦争研究所) ロシアによる攻勢戦役評価 2000 ET 21.07.2023 “ウクライナ軍攻勢概況とロシア軍の北東部反撃”
ウクライナ軍の反転攻勢
ウクライナ軍は7月21日、戦線上の少なくとも3箇所で攻勢作戦を続け、幾つかの地域で戦果をあげた。7月21日投稿の撮影場所が特定できる動画によって、ウクライナ軍がオリホヴォ・ヴァシリウカOrikhovo-Vasylivkaの北西で戦果をあげたことと、プリユトネ[Pryyutne](ヴェリカ・ノヴォシルカ[Velyka Novosilka]南西12km)に近づいたことが分かる。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、同軍はバフムートの南方及び北方で攻勢作戦を実施したとのことで、オリホヴォ・ヴァシリウカ〜パラスコヴィーウカParaskoviivka方面とクリシチーウカ[Klischiivka]〜アンドリーウカAndriivka方面において、激しい戦闘が続いているとのことだ。ウクライナ軍参謀本部はまた、同軍はザポリージャ・ドネツィク州境のノヴォダリウカ[Novodarivka]〜プリユトネPryyutne方面で成果をあげたと報告し、それに加えて、ザポリージャ州西部のノヴォダニリウカ[Novodanylivka]〜ヴェルボヴェVerbove方面とノヴォダニリウカ〜ロボチネRobotyne方面でも成果をあげたことを報告した。米国戦略広報調整官ジョン・カービーは7月20日、ウクライナ軍が米国供与のクラスター弾を使用し始めたと述べ、クラスター弾はロシア軍守備隊に対して効果的に使われているとも語った。米国中央情報局(CAI)のウィリアム・バーンズ長官は7月20日、アスペン研究所での講演において、ウクライナでのロシア軍防衛には幾つか構造的な瑕疵があり、それは低い士気、ロシア政軍指導部内の混乱といったものだと語った。
ルハンシク州方面でのロシア軍の反撃
7月21日、ロシア軍はクプヤンシク地域で攻勢作戦を続けた。また、前進することができたと伝えられている。ロシア軍西部部隊集団のセルゲイ・ジビンスキー報道官の主張によると、ロシア軍はセンキウカ[Senkivka]鉄道駅周辺とマシュティウカ[Masyutivka]周辺(ともにクプヤンシク北東12〜14km)での戦闘のなかで、ウクライナ軍の陣地5箇所及び哨戒所4箇所を占領したとのことだ。ロシア軍事ブロガーの報告によると、ロシア軍はクプヤンシク方面で、具体的な場所は不明だが、3km前進し、モヴチャノヴェ[Movchanove]鉄道駅(センキウカ駅の真北)を占領し、リマン・ペルシー[Lyman Pershyi](クプヤンシク北西11km)の南方と北東のウクライナ軍陣地を攻撃したとのことだ。ロシア軍事ブロガーの一人は、クプヤンシク方面でロシア軍がオスキル川に位置する陣地(具体的な詳細は不明)へと進んだと主張した。なお、これらの主張に関して、ISWは今のところ映像での裏付け情報を得ていない。ウクライナ軍参謀本部は、同軍がマシュティウカ南西でロシア軍の地上攻撃を撃退したと報じた。ウクライナ軍東部部隊集団報道官セルヒー・チェレヴァティー大佐は、ロシア軍はクプヤンシク方面において、戦場の主導権を握ろうと試みていると語った。
7月21日、ロシア軍はクレミンナ地域で攻勢作戦を続けた。また、わずかに前進できたと伝えられている。ロシア軍事ブロガーの一人は、セレブリャンシケ[Serebryanske]森林地帯(クレミンナ南西10km)で北西方向から前進したと主張した。別のロシア軍事ブロガーは、ロシア空挺軍(VDV)の詳細不明の強襲分遣隊がクレミンナ付近の森林内とされる場所で、ウクライナ軍塹壕陣地を占領する動画を投稿した。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、ロシア軍はナディヤ[Nadiya](スヴァトヴェ北西15km)付近、マキイーウカ[Makiivka](クレミンナ北西22km)付近、ネヴェシケ[Nevske](クレミンナ北西18km)付近、ディブロヴァ[Dibrova](クレミンナ南西7km)付近、セレブリャンシケ森林地帯で攻勢作戦を行ったが、成功しなかったとのことだ。
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