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【記事和訳(2023.12.18改訂)】アウジーウカ:地理空間上での車両損失評価 パート2(Frontelligence Insight)
2023.12.18附記:原文掲載の画像が再アップロードされたため、本翻訳記事の画像も新しいものに差し替えた。
私たちは画像の再アップロードを行った。その理由は、画像アップロードの最終手順の際に、未編集の座標情報、移動中の車両、間違った位置を示している矢印を含む未完成の画像が一部、偶然に紛れ込んでしまったからだ。なお、[ロシア側損失車両の]合計数は211両から変わっていない。
はじめに
本記事は上記リンク先の英文記事(“Avdiivka: Geospatial Vehicle Loss Assessment. Part 2”)の日本語訳になります。
10月以降、ウクライナ東部アウジーウカ周辺でロシア軍が攻勢を強めています。このエリアでのロシア側車両損失を衛星画像を用いて分析したのが、上記英文記事の内容です。
なお、この英文記事を作成したFRONTELLIGENCE INSIGHTは、ウクライナ軍予備役将校Tatarigami氏が立ち上げた戦争情報分析プロジェクトの名称です。Tatarigami氏はSubstackでの記事投稿のほかに、X等のSNS上でも積極的な情報発信をしています。
(*使用画像:すべて原文記事からの転載)
日本語訳
Frontelligence Insightチームは、10月10日から11月28日までの期間に撮影された、さまざまな衛星画像を検証することによって、アウジーウカ周辺で破壊された、または損傷を被り遺棄されたロシア軍車両が211両を超えることを突きとめた。
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私たちが初期報告で伝えた車両数は109両を超えており、それは10月10日から10月20日の期間のものだった。また、ヴォディヤネから西方の地域での破壊・遺棄状況は、初期報告には含まれていなかった。今回、私たちは調査範囲を広げ、2023年11月28日までの[アウジーウカ方面の]全地域を対象とした。その結果、総数で211両のロシア側損失という結果に至った。
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パート1ですでに特定済みの損失、もしくは10月10日(攻勢開始日)以前に生じた損失は、白色の四角囲いで示されてある。なお、ウクライナ側損失は今回の報告には含まれていない。その理由はこの報告の主旨がロシア軍の損失にあるからだ。ただし、念のために述べておくと、私たちが特定できたウクライナ側損失車両は7両を超えなかった。
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アウジーウカ周辺でのロシア軍損失車両数は、ヴフレダルの戦いも含む、ほかの一つの会戦における損失を上回る数になっており、車両損失の点で、アウジーウカがロシア軍にとって最も壊滅的な戦いになっていることを示している。損失に含まれる主な車両の種類は、戦車、BMP、BTR、MTLBであり、あと一定数のIMVと数両のトラック、そしてMLRSがそこに含まれる。
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興味深いことに、動画で確認されたFPVドローンによる攻撃と、衛星画像を通して視覚的に確認された破壊車両の数が、すべて重ならない結果になった。このことは、車両のなかにまだ動くことができたものがあった、もしくは、修理のために戦場から引き上げられたものがあったと説明できるかもしれない。FPVドローンによる一撃は、必ずしも車両損失を示しているわけではないということだ。
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移動不能だが見た目上は無傷に見える車両を後送できていない状況を検証することを通して、多くの場合、私たちのチームはある特定の地域の支配状況を判断できるようになった。ロシア側後方地域に存在する車両の多くは、多くの場合、すぐに後送されており、ときには動けなくなったのと同じ日に後送されている。
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初期のロシア軍の攻撃は、アウジーウカの両側面で形成された圧倒的な火力優勢にかなり頼ったものだったが、その後すぐにモメンタムを失った。これは、この種の攻撃で必ず生じる出来事である。当初、成功をおさめたにも関わらず、ロシア軍はこの成功をさらなる進撃につなげていくことができず、特にアウジーウカ包囲につなげていくことができなかった。
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これらの損失の少なくとも50%は、攻撃開始から最初の3週間以内に生じており、10月から12月にかけて時折、損失数がピークに達することがあった。このことは、Frontelligence Insightのものも含む、さまざまな報告とも一致しており、大規模な機械化部隊を用いる代わりに歩兵突撃を行う方向へのシフトを示している。
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さらに分析を進めて分かったのは、ロシア軍がステポヴェで成功をおさめたにも関わらず、ベルディチで成果をあげられなかったということである。この状況を私たちのチームは以前、予測していた。こうなってしまうのは、確固たる拠点がないままで兵站線を過剰に伸長させてしまうことは、極めて危険な状況を招くことになりかねず、反撃に対して極めて脆弱を招きかねないからだ。
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ロシア軍車両の破壊が動画上で記録されている地点のなかの数箇所を私たちは除外したが、それは爆発範囲が広かったことによる。何にせよ、このような地点で車両特定できるものは衛星画像上、何もなく、ただ確認できるのは焼け跡とクレーターだけだ。
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私たちはまた、以前の衛星画像には存在していなかった道路上の車両を複数、除外した。なぜなら、これらの車両が移動中だったのか、動けずに使用不能なのかを区別できなかったからだ。加えて、数両の運用中の車両も含めていない。
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正確性を向上させるために、私たちは9月と10月からの画像を比較し、10月10日以前に破壊された車両と、以前の報告に含まれている車両を除外した。それでもまだ、さまざまなミスや誤って特定してしまった可能性は存在するが、これらのミスと誤認定は12.75%で収まっているものと試算している。
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ロシア軍損失の合計数は、5個大隊が完全に壊滅した規模をやや超える程度に等しいものになるだろう。この状況は、ロシア軍が成し遂げた結果を考えると、装備と兵力の双方でかなり大きな損失を意味する。
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すでに報じられている米国政府による損失試算では、アウジーウカ〜ノヴォパウリウカ攻勢軸において13,000人を超えるロシア軍将兵が死傷したとされているが、この米国政府試算は、私たちの分析が示した確認結果と一致している。
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私たちのチームは、位置情報付データを利用して、10月10日から11月28日の期間におけるロシア軍車両損失のマッピングを行った。これはアウジーウカ戦の視覚化の一助になり、車両損失が最も集中的に生じた地点を特定するのに役立つ。
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アウジーウカの戦いは続いており、今でもロシア軍はAKHZ[アウジーウカ・コークス化学工場]付近で足場となる拠点を築くことと、この付近の戦術状況を好転させることを試みている。これと同じことが、アウジーウカ南方に位置する工業地区内でも行われている。
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アウジーウカがロシア軍によって最終的に占領されたとしても、甚大な損失を出し続けたうえで、ロシア軍が戦果拡張をすることができるのかどうかは、依然として不明である。作戦区域に進入し、さらに進撃していくためには、戦闘準備態勢の整った複数個旅団からなる部隊が、ロシア軍に必要となるだろう。
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