【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.12.28
日本語訳
2024年12月12日から13日にかけての一夜に、ロシアはウクライナ国内に向けて、大規模な同時多方向攻撃を行った。11月とそれ以前の攻撃と同様に、今回の攻撃に投入されたのは、ロシア空軍遠距離航空コマンドの航空戦力と固定翼機の戦術航空戦力であった。これらの航空兵器から、さまざまな種類の航空機搭載型の巡航ミサイル・弾道ミサイルが発射された。
これらの航空戦力を支えたものが、黒海艦隊戦力から投射された”SAGARIS”対地巡航ミサイル[注:“カリブル”の海軍バージョン]であった。それに加えて、片道攻撃型無人航空システム(OWA UAS)が複数の発射拠点から投入された。合計で約90発のミサイルが投入され、それに連携して少なくとも180機のOWA UASが用いられた。
2024年8月以降、ロシアは今年の初めに行ったような頻繁だが小規模な攻撃を行うのではなく、攻撃と攻撃との間に間隔をおいて備蓄を行い、そののちに頻度は少ないが大規模な攻撃を行うほうを選択している可能性が高い。12月12〜13日夜の攻撃の構成と目標設定は過去の攻撃と同様であり、ウクライナの“重要国家インフラ[Critical National Infrastructure:CNI]”と産業施設に対する攻撃に重点が置かれていた。それと並行して、OWA UASによる飽和攻撃を行うことで、ウクライナ側の防空戦力と航空基地を制圧することも試みた。一方でロシアは、懲罰対応として、無警告あるいはほとんど警告なしに、上述の戦力をより少なく投入できる能力と、そのための備蓄兵器を保持している。