【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 14.10.2023
日本語訳:
8月と9月に立て続けに攻撃されて以降、ロシア黒海艦隊(BSF)は、その防衛・対応態勢を強化してきた可能性が極めて高い。BSFはその貴重なアセット、それには巡航ミサイル運用可能な水上艦艇と潜水艦が含まれるのだが、それらをセヴァストポリから、さらに東方の、例えばノヴォロシースクのような作戦運用拠点地域に再配置している。
2022年7月以来、ウクライナは黒海北西部でイニシアティヴを獲得し、強力なBSFが、無人水上艇(USV)・無人航空機(UAV)・ミサイルによる攻撃から、さらには特殊作戦による攻撃から、自身を防衛せざるを得ないように追い込んでいる。だが、ロシアにとっては不愉快な、耳目を集めた例を除いて、BSFは訓練・整備・自身の防衛を概ね継続できており、それと並行して、ウクライナ領内に巡航ミサイルを撃ち込んでいる。BSFがミサイル発射を黒海東部から行っているのはほぼ間違いない。
BSFの能力はほとんど無傷であるとはいえ、BSFが黒海西部でのイニシアティヴを得るためには、従来型火力投射能力の優位性を活用するしかないという可能性は、唯一現実味のある可能性だ。さらなる軍事的失敗のリスク、そして、ロシア海軍が民間商用船舶を公然と攻撃することが招く厳しい政治的帰結というリスクを考えると、ウクライナに向かう通商活動の封鎖強化で得られるいかなるメリットよりも、そのようなリスクのほうがはるかに上回ることになる可能性は極めて高いだろう。