【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 10.05.2024
日本語訳
2024年5月9日はロシアの戦勝記念日である。この日は、「大祖国戦争」でナチズムに打ち勝ったロシアの勝利を讃える日だ。大規模なパレードが、ウラジーミル・プーチン大統領主催のもとモスクワで行われた。なお、その前の5月7日にはプーチンの大統領就任式があった。戦勝記念日パレードは24の都市で中止になったが、これらの都市の多くはウクライナと国境を接する地方にあり、おそらく安全性の低さが理由で中止になったものと思われる。なお、今年との比較になるが、2023年は21都市でパレードが中止になっている。
9機のSu-39SMとMiG-29航空機、そして、それらに加えて6機のSu-25攻撃機が参加する儀礼飛行が復活したとはいえ、モスクワでのパレードは規模の面で縮小され、戦前のパレードと比べてみた際、登場した最新鋭軍事装備の数も少ないものだった。
パレードには30個の部隊が参加したが、その3分の2を超える数の部隊が、軍学校、青少年、退役軍人から呼び寄せられたグループだった。パレードにはまた、国内保安部隊と救急部隊も加わっていた。合計で9,000人の軍学校生徒、退役軍人、現役軍人が参加した。比較すると2023年は8,000人だった。しかし、ウクライナ戦争以前の2021年のパレードに11,000人参加したことと比べると、今年の人数は少ない。
軍用車両は61両登場したけれども、重装甲車両もしくは装軌式車両は姿を見せなかった。パレードに登場した唯一の主力戦車は、たった1両のT-34戦車だけだった。T-34は第二次世界大戦時代の戦車で、伝統的にパレードの先頭を飾っている。この状況は、20両の主力戦車が加わった2020年のモスクワでのパレードと比べて対照的である。
ウクライナ戦争の結果として、ロシア軍の兵員と装備に甚大な損失が生じているなか、パレードを使って軍事力を誇示するチャンスは、ロシアにはなかった。