【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 12.05.2024
日本語訳
ロシア国営のエネルギー企業であるガスプロムは、過去25年間で最大の年次赤字決算を計上した。2023年、ガスプロムの収益は約30%下落し、1年間の純損益はおよそ6,290億ルーブル(69億米ドル)に達した。
2022年のロシアによるウクライナ侵略と、それに続くロシアと西側との関係悪化は、ガスプロムの経営を厳しく制約している。ガスプロムはその輸出先として、これまで欧州市場に依存してきたが、その輸出先を完全に変えていくことができず、このことが、少なくとも2023年までは、収益を継続的に抑え込んできた可能性が高い。ガスプロムはその取引の一部を代替市場に振り分けることができたとはいえ、インフラ面の制限があったため、このような代替取引の規模は、2023年において、欧州で失った売り上げの5%から10%にしか相当していない可能性が高い。将来的に売り上げが増加するかどうかは、「シベリアの力2」パイプラインのような、新しい輸出インフラがつくられるかどうかに左右される可能性は極めて高い。
2022年と2023年にガスプロムの利益にかかった高い税が、代替市場を広げていく能力とそうする動機づけを縮小させたのはほぼ間違いない。2023年、ロシア予算のうち2.5兆ルーブル(280億米ドル)の金額がガスプロムからのものであったと試算されており、これは政府歳入全体の約9%にあたる。ロシア政府は2024年、ガスプロムへのさらなる税負担を計画しており、この計画が、2024年に投資規模をおよそ15%分カットするというガスプロムの決断につながった可能性は高い。