【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.02.2024
日本語訳
2022年2月にウクライナとの戦争を始めた際、ロシア海軍(RFN)は黒海全域で、そして最も重要な北西エリアで、自由に航行できる状態を維持していた。伝統的な意味での海軍戦力を欠くウクライナがとった非対称的な代替策(各種誘導ミサイル・無人艇の投入)の成功ののち、RFNは自軍のリスク許容度の再評価を繰り返し迫られることになっている。ウクライナは陸上と海上での打撃行動を組み合わせることで、ロシア側の脅威認識を新たに高い段階へと押し上げ続けている。その結果、ロシア黒海艦隊(BSF)所属部隊は、主要活動地域を黒海東部に移さざるを得なくなった。
ウクライナ軍の攻撃成功が続くことで、BSFはじりじりと劣勢を強いられるようになっており、タランタルⅢ級「イヴァノヴェツ」とロプーチャ級「ツェーザリ・クニコフ」が最近、沈められた結果、開戦以来2回目のBSF司令官の解任という出来事が生じた。比較的安全な黒海東部に展開する艦艇を用いてウクライナに対する打撃任務を遂行する能力を、ロシアは引き続き維持しているものの、ウクライナの非伝統的な海洋戦闘アプローチの効果を弱めるために採択した防御態勢が、その意図通りには機能していないことは、ますます明白になっている。
戦略次元でみると、ウクライナがとるアプローチは、海上通商ルートに干渉する能力をロシアに与えずにいる。黒海穀物イニシアチブ(BSGI)の枠組が崩壊して以降、ウクライナがモメンタムを得たことで、ウクライナは黒海西部で優位に立つことが可能になっている。このことは一方的に制定した人道回廊を経由するウクライナの輸出量の増加という結果を導いており、それによって、BSGI体制時以上の規模の貿易ができるようになり、その規模は戦前に匹敵するレベルに達している。