【報告抄訳】ISW ロシアによる攻勢戦役評価 1745 ET 15.08.2023 “ウクライナ・ロシア双方の攻勢の状況”
8月15日、ウクライナ軍は戦線上の少なくとも3箇所で反攻作戦を実施した。また、ルハンシク州とザポリージャ州西部での前進が伝えられている。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、ウクライナ軍はバフムート、メリトポリ方向(ザポリージャ州西部)、ベルジャンシク方向(ドネツィク州西部〜ザポリージャ州西部)で反攻作戦を続けたとのことだ。8月15日にロシア軍事ブロガーが示した座標によって、ウクライナ軍がディブロヴァ(クレミンナ南西7km)の南方で前進したことが分かる。8月14日投稿の撮影地点が特定できる動画に、ウクライナ軍がロボチネ内部へ入ったことが示されており、さらに8月15日に伝えられたロシア・ウクライナ双方の報告は、ウクライナ軍がザポリージャ州西部地域に反転攻勢用の旅団を追加投入していることを示唆している。ウクライナのペトロ・チェルニク大佐は、ウクライナ軍反攻は南部においてゆっくりと進展しているが、それはロシア軍の三層構造防衛線を打ち破らねばならないからだと述べた。ロシア軍防衛線には、数キロメートルの幅で広がる地雷原という第一線、砲・装備・兵員が集結している第二線、物資保管のための後方第三線が含まれているとチェルニクは語っている。また、ウクライナ軍の対砲兵措置は同軍の地雷除去装備を狙ったロシア軍の砲撃を阻止するために、とりわけ重要だとチェルニクは指摘した。チェルニクが言及した内容は、ISWが以前に評価した内容と一致している。それは、ドクトリン上適切なロシアの弾力的な防衛が、ウクライナ南部におけるウクライナ軍の進撃を遅らせているというものだ。
8月15日、ロシア軍はクプヤンシク〜スヴァトヴェ〜クレミンナ線沿いで攻勢作戦を実施し、報告によると前進できた模様だ。ウクライナ軍参謀本部は、ロシア軍がヴィルシャナ[*注:クプヤンシク北東15km]の南東とペトロパヴリウカ(クプヤンシク東方7km)の東方で攻勢作戦を行ったが、成功しなかったと報告した。ロシア軍事ブロガーの一人は、シンキウカ付近でロシア軍が前進中であると主張した。ほかのロシア軍事ブロガーの主張によると、ロシア軍はシンキウカ付近、アンドリーウカ(スヴァトヴェ西方15km)付近、ビロホリウカ[*注:クレミンナ南方12km]付近とヴェセレ[*注:クレミンナ南方31km]付近で攻勢作戦を実施したとのことだ。あるロシア軍事ブロガーは、ビロホリウカ付近で陣地をめぐる戦闘が続いており、ロシア軍はセレブリャンシケ森林地帯にいるウクライナ軍を激しく攻撃していると、8月14日に主張した。また、ロシア軍事ブロガーの一人は、ロシア軍第123自動車化狙撃旅団(ルハンシク人民共和国第2軍団隷下)の部隊がシヴェルシク方面で作戦行動中だと主張している。
8月15日、ロシア軍はバフムート付近で攻勢作戦を続け、報告によると前進できた模様だ。ロシア軍事ブロガーは、ロシア軍がクリシチーウカ付近とアンドリーウカ付近[*注:バフムート南方5〜11kmの地域]で反撃を行ったと主張した。軍事ブロガーのなかには、ロシア軍がクリシチーウカ集落内南側にある陣地を再占領したと主張する者もいるが、その陣地についての具体的な情報はない。一方で軍事ブロガーの一人は、ロシア軍の攻撃は失敗したと主張した。
参考:
戦争研究所 ウクライナ戦況インタラクティブ・マップ
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