【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.07.2024
日本語訳
2024年7月23日にウクライナ軍は、ロシア領カフカス港内で鉄道車両渡船(鉄道RO-ROフェリー)「スラヴャニン」に損傷を加えた。この攻撃の結果、ウクライナ南部の占領軍への補給と、液化石油ガス(LPG)のこの地域内での輸出に関して、さらなるロジスティック上の問題がロシアに生じることになるのはほぼ間違いない。
ロシア本土とクリミア半島の間に位置するケルチ海峡を横断航行する3隻の鉄道RO-RO船のうち、スラヴャニンは最大の積載能力を有している。2024年5月29日にウクライナ軍がミサイル攻撃を成功させた結果、ほかの2隻の鉄道RO-RO船に損害が生じた。そののちスラヴャニンは、唯一の鉄道RO-RO船として運航を再開した。なお、5月29日以前、スラヴャニンが黒海地域の顧客向けにLPGを輸送していた可能性は極めて高い。
RO-ROフェリーが運航不能に至ったことは、それがたとえ一時的なものであっても、燃料・弾薬・装備のケルチ海峡越え輸送へのコスト増大を招くことに加え、ロシアから輸送手段の柔軟性を奪うことにもなる可能性が極めて高い。これらの攻撃以降、ロシアは保安手続きの変更を迫られている可能性が極めて高く、また、ケルチ海峡を渡る燃料輸送鉄道車両の移動に関するリスクを負わざるを得なくなっている可能性も極めて高い。なお、このようなことは、2022年10月にケルチ大橋が初めて攻撃されて以降、ロシアが避けようとしていたものだ。