Russian Offensive Campaign Assessment, December 15, 2024, ISW ⬇️
2024.12.14のシヴェルシク方面攻撃にみるロシア軍の能力
◆ 戦争研究所(ISW)報告書の一部日本語訳
シヴェルシク[Siversk]周辺で行動しているロシア軍の指揮の変更が最近、伝えられているが、それに続くかたちで、ロシア軍はシヴェルシク方面でおおむね1個大隊規模の機械化部隊攻撃を行った。12月15日にウクライナ人軍事ウォッチャーのユーリー・ブトゥソウは、ロシア軍が12月14日にシヴェルシクから北・東・南の3方向で機械化部隊攻撃を行ったことを伝えた。ブトゥソウによると、この攻撃に、兵力400人超、最大30両の装甲車両、バギー13台、バイク60台が投入されたとのことだ。12月15日に公開された撮影地点特定可能な動画に、ヴェセレ[Vesele](シヴェルシクから南の方向)から北の方向で、ロシア軍が1個中隊相当の機械化部隊攻撃を行い、その際、ロシア軍がわずかに前進した様子が映っている。ブトゥソウの報告によると、ロシア軍は4つのウクライナ軍陣地内に突入し、歩兵を降車させることに何とか成功したものの、ウクライナ軍のドローン攻撃と砲撃、さらに近接戦闘によって、このロシア軍の攻撃は最終的に撃退されたとのことだ。ロシア軍の目的はウクライナ側防衛網内へと2~3キロメートル、突入することにあったとブトゥソウは述べており、ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、ロシア軍がゾロタリウカ[Zolotarivka](シヴェルシクから東の方向)の方向から縦深2km、前進したと主張している。ISWは現状、この攻撃でどの程度ロシア軍が前進できたのかを確認することができていないが、近日中にロシア軍の攻撃に関する新たな動画があらわれる可能性は高い。12月14日にウクライナ軍ルハンシク部隊集団報道官アナスタシア・ボボウニコワ少佐は、ロシア軍がシヴェルシク方面での最近の攻撃において、100以上の装備品を投入したと述べ、12月13日にこの方面で55回の交戦があったことを指摘した。このことから、戦線のこの地区における戦闘のテンポがかなり速まっていることが分かる。
この最近のシヴェルシク攻撃は、ロシア軍がより効果的な攻撃の遂行を学びつつある模様であることを示している一方で、ロシア軍が依然として戦場における機動戦遂行能力を回復していないことも示している。今回のロシア軍の攻撃は、これまでシヴェルシク方面でなされたロシア軍攻撃の大半と比較して、規模が大きく、まとまりの強いものであった。ブトゥソウは、ロシア軍が慎重にこの攻撃を準備したと評価している。ロシア軍が通信連絡・電信戦(EW)・ドローン運用と地上攻撃部隊との間の連携調整を、特に行ったことをブトゥソウは指摘している。ここでブトゥソウがあげた指揮統制(C2)に関する要素のすべては、ロシア軍がこれまで効果的な運用に苦労してきたものだ。この地域におけるロシア軍の指揮に変化があったことが最近、伝えられており、それがより準備の整ったロシア軍攻撃に結びついている可能性がある。シヴェルシク周辺のロシア軍はこれまで、効果的な攻撃を遂行することにとりわけ苦労してきた。そして、2024年11月上旬にシヴェルシクから北東方向に位置するビロホリウカ[Bilohorivka]周辺での機械化部隊攻撃にロシア軍は失敗したにもかかわらず、この地区で成功したと誇張して主張したことがきっかけとなり、第3諸兵科連合軍(CAA)(以前は第2ルガンスク人民共和国軍団[LNR AC]隷下)内の数名の旅団長が、ロシア軍統帥部によって解任・逮捕されたとされている。以前、ロシア軍の指揮変更を正確に予測していたロシア側インサイダー情報筋の一つは12月13日に、ロシア軍統帥部が最近、第3CAA司令官ドミトリー・オフチャロフ少将を解任したと主張した。一方で、ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは12月15日にこの見解を否定したうえで、第3CAAの直近の司令官がアレクセイ・コレスニコフ少将であったと主張し、そのコレスニコフが最近、詳細は不明だが新たな地位に就いたという見解を示した。
※ISWが参照している情報源を確認したい場合は、報告書原文の後注[1]~[10]に記載されたURLにアクセスしてください。
◆ 報告書原文(英文)の日本語訳箇所
ウクライナ戦況地図(戦争研究所)