見出し画像

【抄訳】戦争研究所「ロシアによる攻勢戦役評価」2024.11.14 - ウクライナ戦況:ロシア軍のクプヤンシク市内突入

Russian Offensive Campaign Assessment, November 14, 2024, ISW ⬇️

ウクライナ戦況:ロシア軍のクプヤンシク市内突入

◆ 戦争研究所(ISW)報告書の一部日本語訳

ロシア軍は最近、1個中隊規模相当の機械化部隊攻撃を行って、クプヤンシク[Kupyansk]市内に進入した。だが、ロシア軍がその地区を支配下に置いているとは、ISWは評価判断していない。11月13日に公開された撮影地点特定可能な動画に、攻撃を遂行するロシア軍車両が少なくとも4両、映っており、ロシア軍が最近、鉄道線に沿って南進したことを示している。ロシア・ウクライナ双方の情報筋によると、ロシア軍は二つの装甲車両隊列によって攻撃したとのことで、隊列の一つは戦車1両と装甲車両3両で構成され、もう一つは車両構成及び車両数が不明であるということだ。ウクライナ偽情報対策センターのセンター長であるアンドリー・コヴァレンコ中尉は11月14日に、ウクライナ軍がクプヤンシクでロシア軍の攻撃を撃退したと発表し、ロシア軍がクプヤンシク市内に拠点を設けることをウクライナ軍が阻止したことも伝えた。ウクライナ軍戦略コミュニケーション・センター(ストラトコム[StratCom])の発表によると、クプヤンシクは完全にウクライナ側支配下にあるとのことだ。ウクライナ軍ストラトコムはまた、ウクライナ軍がこの居住地域に対するロシア軍の攻撃を撃退したという11月13日付ウクライナ軍参謀本部発表を繰り返し伝えた。ロシア軍はクプヤンシク北部内に進入した可能性が高いが、その地区を支配下に置いている可能性はかなり低いと、ISWは評価判断している。また、ISW制作地図において、この地点は現在、ロシア軍が戦闘行動を行ったり、攻撃を仕掛けたりしているが、支配しているとはいえないと評価できる箇所として示されている。ここ2カ月間、ロシア軍はクプヤンシク周辺での攻勢作戦を強化させてきた。そして、ロシア軍がクプヤンシクを掌握することになれば、作戦面で重大な影響が生じることになると、ISWはこれまで同様に評価判断している。ただし、ロシア軍が最近の戦術規模の前進を活用して、作戦レベルでの大戦果を成し遂げることができるかどうかに関して、ISWは評価判断を下すつもりはない。なお、11月13日と14日にロシア軍が攻勢作戦を続行したのは、

  • クプヤンシクから北の方向のホルビウカ[Holubivka]付近

  • クプヤンシクから東の方向のペトロパウリウカ[Petropavlivka]付近

  • クプヤンシクから南東の方向のコリスニキウカ[Kolisnykivka]付近、クルフリャキウカ[Kruhlyakivka]付近、ロゾヴァ[Lozova]付近、ザフリゾヴェ[Zahryzove]付近、クチェリウカ[Kucherivka]付近

である。


※ISWが参照している情報源を確認したい場合は、報告書原文の後注[17]~[22]に記載されたURLにアクセスしてください。

クプヤンシク[Kupyansk / Kupiansk]周辺戦況地図
米国東部時間2024年11月14日13時30分の時点
(戦争研究所 https://storymaps.arcgis.com/stories/36a7f6a6f5a9448496de641cf64bd375
※薄い赤色地域(点線内):ウクライナ領内へのロシア軍の前進があったと評価される箇所
※薄い赤色地域(実線内):ロシア軍支配地域と評価される箇所
※濃い赤色地域:直近の24時間以内でロシア側の戦果があったと評価される箇所
※黄色地域:ウクライナ領内におけるロシア側の支配が主張されている箇所
ルハンシク州方面の領土支配状況評価
米国東部時間2024年11月14日13時30分の時点
(戦争研究所)

◆ 報告書原文(英文)の日本語訳箇所

Russian forces recently advanced into Kupyansk during a likely roughly company-sized mechanized assault, although ISW does not assess that Russian forces control the area. Geolocated footage published on November 13 shows at least four Russian vehicles conducting an assault, indicating that Russian forces recently advanced southward along a railway line. Russian and Ukrainian sources stated that Russian forces attacked in two armored vehicle columns and that one column consisted of one tank and three armored vehicles and the other column consisted of an unspecified composition and number of vehicles. Ukrainian Center for Countering Disinformation Head Lieutenant Andriy Kovalenko reported on November 14 that Ukrainian forces repelled Russian attacks in Kupyansk and prevented Russian forces from establishing positions in Kupyansk. The Ukrainian Armed Forces Center for Strategic Communications (StratCom) reported that Kupyansk is fully under Ukrainian control and reiterated a Ukrainian General Staff report from November 13 stating that Ukrainian forces repelled a Russian assault on the settlement. ISW assessed that Russian forces likely advanced in northeastern Kupyansk but very likely do not control the area, and ISW maps currently show areas in northeastern Kupyansk where ISW assesses Russian forces have operated in or launched attacks against but do not control. Russian forces have intensified offensive operations near Kupyansk within the last two months and ISW continues to assess that the Russian seizure of Kupyansk would generate operationally significant effects. ISW is not prepared to assess whether Russian forces will be able to leverage recent tactical advances to make operationally significant gains, however. Russian forces also continued offensive operations north of Kupyansk near Holubivka; east of Kupyansk near Petropavlivka; southeast of Kupyansk near Kolisnykivka, Hlushkivka, Kruhlyakivka, Lozova, Zahryzove, Kucherivka on November 13 and 14.

Russian Offensive Campaign Assessment, November 14, 2024, ISW

ウクライナ戦況地図(戦争研究所)

いいなと思ったら応援しよう!