【報告抄訳】ISW ロシアによる攻勢戦役評価 1805 ET 04.08.2023 “ウクライナ軍ドローン攻撃とロシア軍事ブロガーの反応”
8月3日から4日にかけての夜、ウクライナ軍は占領下クリミア及び[ロシア領]クラスノダール地方(ロシア海軍主要根拠地)にあるロシア軍兵站施設と港湾インフラに対する航空・海上ドローンによる連続的な攻撃を実施した。ロシア国防省の主張によると、ロシア軍防空部隊ならびに電子戦部隊は、クリミアを狙ったウクライナ軍ドローンを最大で13機撃墜したとのことだ。8月4日に流れた撮影場所が特定できる動画に、クリミアのフェオドシアにある石油貯蔵所付近を攻撃するウクライナ軍ドローンが映っているが、ドローン攻撃によって攻撃目標であるロシア側施設が被害を受けたかどうかは不明である。8月3日と4日に流れた撮影場所が特定できる動画に、クラスノダール地方ノヴォロシースクのロシア海軍基地付近において、ウクライナ軍海上ドローンに向けて砲射撃を行うロシア軍が映っており、また、ロシア海軍ロプーチャ級揚陸艦“オレネゴルスキー・ゴルニャク”を海上ドローン1艇が攻撃する様子も映っている。ロシア国防省の発表によると、ロシア海軍の砲撃によって、2艇のウクライナ軍海上ドローンがノヴォロシースク基地付近で破壊されたとのことだ。8月4日の終わりに投稿された撮影場所が特定できる動画に、オレネゴルスキー・ゴルニャクが傾いている様子と、この揚陸艦をノヴォロシースク港へ牽引するロシア軍支援艇が映っている。動画によって、オレネゴルスキー・ゴルニャクの被害状況の全貌が分かるわけではないが、ロシア側情報筋は、ダメージは致命的なものではなく、修理に必要な時間は分からないがその修理を終えれば、この艦艇は運用可能になるだろうと主張した。ケルチ大橋を通る交通が大幅に乱れているなか、ロシア海軍はこの揚陸艦をケルチ海峡越しの民間車両輸送に使っていたとロシア側情報筋は主張している。
ロシア軍事ブロガーは、ロシア国防省が海上ドローンによる攻撃に関して虚偽説明をしたことを、いかにも軍事ブロガーらしく厳しく非難し、また、黒海での活動をより激しくするようロシア軍部に呼びかけた。揚陸艦オレネゴルスキー・ゴルニャクが攻撃による被害を受けたことを認めずに、ロシア国防省が当初、ドローン攻撃すべてを阻止したと主張したことに関して、ロシア軍事ブロガーは国防省を批判した。ロシア軍事ブロガーは、ウクライナのドローン組立工場を破壊したと国防省が過去に虚偽説明を行ったことも批判し、ウクライナが民間船舶からの海上ドローン攻撃を行うことを阻止するため、ロシア軍はウクライナの黒海へのアクセスを遮断しなければならないと主張した。また、ロシアのあるニュース要約チャンネルは次の主張をした。その主張とは、ロシアはウクライナ小型艇を探知するためのしっかりとした黒海監視システムをつくる必要があり、それはウクライナの港湾インフラを攻撃するというようなほかの戦術では、黒海で攻撃されることを防げないからだというものだ。ロシア軍事ブロガーのなかには、ロシア国防省には一貫した情報方針が欠けており、そのことがロシア軍の失敗が起こるたびにロシア情報空間での世間の反発を招く状況をつくっているという見解を示す者もいる。