フランス・ギャル『夢見るシャンソン人形~Poupée de cire, poupée de son』
ダニエル・ビダルほか、多くの歌手にカヴァーされているこのフレンチアイドルの定番曲は、1965年、イタリアで開催された第10回ユーロビジョンコンテストで、ルクセンブルク代表で出場したフランス・ギャルがグランプリを獲得した曲である。
自分が15歳のときに出会い、それ以来、熱烈なファンでいるフランス・ギャル。残念ながら、2017年に亡くなってしまったが、自分のアイドルの規範というべきフランス・ギャルはいまだに頭の中に基準として強く存在している。
PANTAはフランスの女の子が好きみたいとか揶揄されたりもしたが、このギャルとは実名で、イザベル・ジュヌヴィエーヴ・マリー・アンヌ・ギャル(Isabelle Geneviève Marie Anne Gall)という本名。父は「ラ・マンマ」などで知られる作詞家のロベール・ギャル。
セルジュ・ゲーンズブールの歌詞も後に問題にされる「アニーとボンボン」とかいわゆるロリータ・アイドルの代名詞となっているフランス・ギャルだが、16歳のとき、「恋のお返し~Ne Sois Pas Si Bête」でデビューしたときから、ジャズ・ア・ゴーゴー他の素晴しいジャジーなスキャットも聞かせてくれる実力派。
というかこれくらいの歌唱力は普通に持ってほしいと願う自分のアイドル基準ではあるのだが、彼女の音域も1オクターブ上下くらいと決して広いわけではない。楽曲もそれを意識した曲作りで実に秀逸な曲がならぶ彼女のアルバムはいまでも車に流れる日々なのだ。
一時期、人気は低迷するのだが、ミシェル・ベルジェと結婚してから第二の歌手人生が始まり、「ババカー」「ディエゴ・リーブル・ドン・サ・テート~ディエゴ、あなたの頭の中は自由」などのヒットを飛ばした。
先ほどのアイススケートフィギュアで、ジョニー・アリデイの歌でこの「ディエゴ~」が使われたときには自分も驚いてしまったくらい。
そして夫のベルジェを早くに亡くし、娘のポーリーヌもこの世を去り、決して幸せとはいえない晩年を迎え、2017年1月7日にパリで息を引き取ってしまったが、彼女のすべてが大好きだ。
特にハイトーンで細くちょっとハスキーな声質、テイクによっては若干音程も不安定なところも含め全部が好きだ。ファンとはそういうものだ。
このフラットしているところが好き、この下手なところが好き、あばたもえくぼという死語に近い古いことわざがあるが、ファンとはそういうものなのだ。
これからいろいろ書き連ねていくにあたって、すべての基準がこのフランス・ギャルに始まり、フランス・ギャルと比較されているだろうことは覚悟してもらいたい。
さあいろいろ楽しみになってきた。まずはこのフランス・ギャルに触れないことには何も始まらないので、軽くではあるが、フレンチアイドルの定番、フランス・ギャル「夢見るシャンソン人形」をあげさせてもらった。