頭腦警察7「万物流転」
麻布一の橋の寺の境内にて、大倉流大鼓の大倉正之助と膝を付き合わせていた。
「Pantaさん、皮を張った鼓は叩くのではなく打つのです」
と気持ち前へ押し出すように気を集めた指先で大鼓を打たされていた。
そして時を経て…
「たんたん たんたんたん」
万物流転はこの太鼓の音から始まる、遥かな雲海を見下ろしながら、まだ毛のついている生皮の太鼓をアンデスの頂から響かせる。
そんなこの世に存在しない乾いた永遠の息吹を求めていた。エンジニアとも言葉の応酬は続き、そして映像にもあるようにマスヒロらの手も借りてありとあらゆる楽器を試した、和太鼓は甲高すぎて話にならず、ほかの楽器もイメージからはあまりに遠すぎるものだった。