物語を書きたい
昔々、ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。
昔々とは、どのくらい昔を指すのでしょうか?
それは、人の捉え方で変わるのですが、最低限の昔とは自分が存在していなかった時代だとすると自分が経験していない事柄が書かれていると想定して良いのです。そのさらに過去の事であると思わせるのは昔が二つ続いている事で強調されていますので、大きな桃が川から流れてきてその桃を割ると子供が出てきて桃太郎と名付けられ、犬、猿、雉をお供にして鬼退治をした話があっても昔々ならばそんな事があったとしてもおかしく無いのです。
ある所とは、どのあたりのことでしょうか?
それは、具体的に名前をあげると差し障りがあるから、ある所にしたのです。もしくは、地名を忘れたから書けなかったのかもしれません。そしてどの地域でも自分の所での話だとして伝えられるようにしたのかも知れません。ある所とした事は、昔々のある所と時代も場所も固定していないので自由に読み手が設定でき、不定にする事で話の奥行きを深めているのです。
おじいさんとおばあさんが登場人物です。昔々のおじいさんとおばあさんですから50歳以上であろうと思われます。もしかしたら40代だったかもしれません。現在の日本での高齢者とは65歳以上を指すようで、健康保険では65歳以上74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者として区別しています。
おじいさんは山へシバ刈り、おばあさんは川へ洗濯に行くのです。
シバ刈り言っても、現代人には理解できません。芝刈りは、芝生の刈り込みの事です。芝生の多いゴルフ場のアルバイトにでも出かけたのであろうかと思うのが精一杯で、認識の違いで物語は変わってしまうのです。もちろんこの頃はゴルフ場はありません。ですから芝刈りではありません。柴刈りなのです。柴刈りとは山の低木や小枝を手入れして集める事です。柴は燃料になるのです。煮炊きやお風呂など炭や薪は高くて手に入らないので山から調達したのでしょう。
おばあさんは川へ洗濯ですが、昔の洗濯はもみ洗いです。洗剤も洗濯板もありません。川の石に投げつけて洗ったのかもしれません。
昔々の話を書くのは難しいです。未来の話はもっと難しいのです。