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昭和史に決して残らないpanの物語8

前回までのpan.
高校入学直後にバスケットボールの練習によるけがで入院を余儀なくされ、バスケットは諦めて学業に邁進するかと思われたpanであったが、やはり勉強は向いてなかったらしく、再びバスケット部に戻ることに。そしてその部活経験で「教える」ことに目覚めたのであった・・・


第8話 pan、ひと夏の思い出を作るってよ

高3の6月の県大会を終えた私たちは特に華々しい戦績を残さないまま引退した。

いよいよ、大学受験に本腰を入れなくてはならない時期になった・・・・が、ここで高校3年間における(部活以外の)一番の思い出である「秘密演技」について触れないわけにいかない。

秘密演技ナニソレ?と、人は言うだろう。しかし、私と同じ高校出身であれば、誰しもが「あーーーーー、ヒミツエンギね!!やったよねー!!」とかなりの熱量で言ってくれると信じてやまない。

母校では例年、赤、白、緑、黄の4チームに分かれて9月に体育祭が行われる。その、メイン種目はこの「秘密演技」と「部対抗リレー」だと私は思っている。←ってゆーか、それしか覚えていない

秘密演技は、集団でのダンス演目で、それぞれの色のチームの高3生が曲、衣装、振り付け、隊列など全てを考え、夏休みにそれぞれの日程を組み、練習に練習を重ねて創り上げる。

その創作及び練習の過程もさることながら、この種目の一番の特徴は、男女がペアで踊る振り付けで、そのペアを決めるのに毎年ドラマが生まれる点だ。

ひと夏を共に過ごすうえ、手をつないだり腕を組んだりリフト(リフト!!!!!)したりする振り付けもあり、交際しているカップルは自分の彼氏(彼女)と踊ることを切に願うわけだ。そして、片思いしている女子(男子)は、意中の相手と踊りたいと切に願うわけだ。

秘密演技の相手探しは、高3になるとすぐに開始される。なんせ、意中の人と踊るためには、いち早く申し込みをしてOKをもらわなきゃいけないから。(要はプロムの相手探しだ)

かくいう私は、当時好意を寄せていたのは卒業した先輩だったので、同級生に狙っている人はいなかった。しかし、「余り」の誰かと踊るよりはかっこいい人(あくまで主観)と踊りたかったので、それまで一度も話をしたことはなかったがバレー部の180㎝セッターのHくん(秀才)に申し込み、無事にOKをもらって自尊心を保てたことにホッとした。

が、Hくんにトスを上げるように軽やかにリフトをしてもらえたかというと、そうはうまくいかなかった。

この年、「色越え」が禁止になったからである。H君のクラスは白組で、私のクラスは緑組・・・国境を越えるように軽やかに色を越え、私は白組で踊ることもやぶさかではなかったが、体育で最も厳しいO先生から「今年は色を越えて踊ることは許すまじ」というお達しが出た。

その時すでにかなりの色越えペアがおり、ハチの巣をつつくような騒ぎになった(当人たちだけ)が、協議に次ぐ協議(当人たちによる)の末、私は学年で一番かわいいバドミントン部のKちゃん(赤組)の彼氏のYくんと踊ることになった。ちなみにHくんは、こっそり想っていたらしいFちゃん(天然系の美少女)と踊れることになったらしい。私より5キロ以上体重が軽いFちゃんはそれは軽やかに空を舞ったことだろう。(知らんけど)

かくしてそれまで名前も知らなかったYくんと、毎夜打ち合わせの電話をするくらいに仲良くなり、受験生らしからぬダンス一色な夏休みを送ったのであった。

ちなみにお察しの通り、毎年、これを機に付き合い始めるカップルが続出する。残念ながら私は人の彼氏が相方だったため、一ミリもその気配はなかった。Yくんとの電話も、3割程度はKちゃんとの惚気話、残りはほぼKちゃんの気持ちに関する相談、であった。この夏私が得たものは思い出とカウンセリングスキルかもしれない。

半端ない熱量を注いだおかげで、ダンスは大成功(あくまで主観)をおさめ、私の高3の暑い熱い夏は終わった。

さて、とうとう、本当に、受験に向けて動き出さないとマズい・・・・・・←かなり遅い


ということで、次回は大学受験の顛末。

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