え?結局どこおるん?


2020年5月8日

一年越しの今日、あの時に話せなかった長い話を。

登場人物は私ともう1人の女。私が次会ったら思い切り殴ってやろうと決めている女。この女めっちゃ可愛い!!驚くことに!!

お人形さんみたいな可愛らしい顔立ち、華奢な女の子らしい体型。

好きな物はマイメロディとアンティークとお花たち、、あと酒と酒と酒。酒は最高だよなわかる。

出会いは多分高校2年生、同じクラスで斜め前の席。思い返せば顔が可愛いこと以外に、全然良い噂を聞いたこと無かったナ。

男たらしとか言われてた多分。可愛いから彼氏が絶えなかったこの女は多感な高校生の中では勘違いされやすいよね。

しかししかし、この女割と一途。性癖やら恋愛感はバグっているが割と一途。噂って怖いネ。

何かのきっかけで話すようになって、なんか知らんが夏ぐらいにはこの女の日傘の中で球技大会を観戦するぐらいの仲にはなってた。

仮名は日傘女にしよう。そうしよう。

日傘女と私は底辺高校の特別進学コースだったので2年間同じクラス。

日傘女の性格は、大雑把、適当、面倒くさがり、ケチ、こだわりが強い、思ったことが顔に出まくる、人見知り、ぶっ飛びすぎてる価値観と行動。しかし、謎に真面目で、繊細。本当に繊細。

何でそんなぶっ飛んだ考えなのに、そんなに繊細なのか私は何度も頭を抱えたよ、まじで、おい。

でも可愛いと嫉妬されるよね女って。宇宙人みたいな思考回路と話題提供でクソ面白いのに人見知りが故に勘違いされやすかった。

まあそんな日傘女の可愛すぎる顔と、下手くそな感情表現と行動が本当に可愛いくて可愛くて羨ましかった。

高校の一番の思い出は何だろう、高校の記憶がもうまず薄くなりすぎてるもんで出てこんわゴメンナ。

謎に日本史のノートをパステルカラーの色ペンで板書して、大事なことが分からなくなってたことと、真夏校門前で日傘さして自転車運転してて命より大事な日傘没収されてたのだけは鮮明に覚えてる。

高校卒業して、それぞれ他県の大学に進んだから年に何回か会うけどそんな頻繁に連絡も取らず。

就職でお互い地元に帰ってきたことで、また遊ぶようになって、気付けば月3?もはや週1ペースで会ってた。

毎回私ら友達おらなさすぎ?って確認し合ったね。うんそう、まじおらんから。

とりあえず、社会人1年目遊びに遊んだ。何かと人生経験としてってことを名目に遊んだ。謎に街コンに興じたりもした。

結局は酒が一番最高って話何回したかな。

自分のテクニックは風俗嬢と間違われるっていう謎の自負とド直球の下ネタが日傘女の持ち味。

昼以降集合、お互い遅刻魔ゆえに時間に集まったことがない。

基本的にお酒を飲みながら記憶にも残らんようなくそみたいな話と男の話とたまに仕事の話。

冬も過ぎてもうすぐ暖かくなるってぐらいかな、目に見て分かるぐらい落ち込むことが増えた。

きっかけは仕事か彼氏か、きっかけさえ有れば人っていくらでも悩めるよね。

元々溜め込みやすく、言い方が悪いけど病みやすいのは知ってた。

真剣に話をして、考えて、最後はしょうもない話をしながら酒を飲んで。

メンヘラメンヘラって何回も2人でネタにしてゲラゲラ笑ってた。

どんなに真剣に話しても、最後にはいつも笑ってて、何の話やっけ?って。

連絡の頻度が落ちていることも、会う機会が減っていることも気付いてたけど、仕事の忙しさを理由に仕方ないと思っていた。

2019年5月8日

2、3週間ぶりに会った日傘女。前より元気。お?復活してるやん。

岩盤浴行って、晩ご飯食べて。珍しくお酒を飲まず。

ポツリと言った、本気で死にたいって思う 。

この言葉に動揺しない人間いますかー??

やめてよー!!元々少ない友達の母数が減るやろ!!

そうやんなあ〜私ら友達おらんもんな!

今思えば、どんなときもふざけてた私達のお決まりのような会話。

その3日後、日傘女は自殺した。

連絡を貰ったのは次の日。私は出先で日傘女の妹からのLINEを見て絶句。

しかもその日は元々同じフェスに別々の友人と行く話をしていた日。いつもだったら今日行くの?とか連絡してた。何故かしてなかった。

3日前に遊んだ時いつもだったら今日も楽しかったとか他愛もない連絡をしてた。けどしてなかった。

よく現実を受け入れられないって言うけど、それ本当にこのこと!ズバリ!まじで!!涙すら出てこなくて。

20分ぐらい経ってやっと絞り出したのが、とりあえず明日お通夜行かなあかん。という圧倒的事実。人間って極限の感情に迷い込むと、目の前の事実しか見えなくなる。

母親にに喪服あるかの確認の電話をかけ、自分の口で彼女の死を口にしたとき初めて涙が流れた。

幸いというべきなのか夕方から仕事の用事があり、その時間だけは何も考えずにいられた。何も考えなくてよかった。

その夜、私は人生で初めて眠ることに恐怖を感じた。この私が!いつでもどこでも何時間でも寝れることだけが取り柄の私が!!!!意外と繊細なところあるやん私〜

3日前に会っていたのに何で私はどうすることも出来なかったのか。死にたくなるって言われた時、なんでいつもの笑い話にしか出来なかったのか。私はあんたのこと大好きで可愛くて仕方なくてどうしても必要やから生きててって抱きしめてあげることが出来なかった。

その事実が私を責め立てて、日傘女も私のことを役立たずって責めてる気がして、勝手に怖くなって、どんな顔をして会いに行けば良いのか分からなかった。

今思えば私なんかのことを友達って言ってくれるようなあの子が、可愛くて仕方ないあの子がそんなこと言う訳ないのにね。勝手な思い込み。被害妄想どっちがメンヘラって話よなごめん今は反省してるって。

葬儀場に着いて、遺影を見ても何も感じず、遺体を見ても、寝てるなあとしか思えなかった。

日傘女の妹さんと初めて会えた。私に連絡をくれた人。よく話には聞いていた妹さん。

どんな最期だったか、聞きたくなかったけど一番口にしたくないであろうご家族が伝えてくれる事実を聞いて、理解した。

彼女の死に納得したのではなく、彼女が本当に死にたかった、自分で最期を決めたと言う事実を理解し、その事柄に対する納得をした。

ポツポツと妹さんと日傘女の話をした。ずーっと涙が止まらなかったのに、話をしながら笑ってしまった。こんなことあったなあ、そういやこんな子でしたよね。まじで変すぎますよね!って。

笑ってる私たちを葬儀屋さんが変な目で見てた。そらそうだよなあ、こんな若くして命を絶った本人を前に笑ってるんやもんな。不謹慎極まりないよね。

でも、話をしてる時だけ私は彼女の人生を肯定できてる気がして、結局大好きな彼女の話をしてる時は楽しくて切なくて寂しくて。はよ起きてきていいよ〜って言いながら。

明日またお葬式で!〜時ですよね!って妹さんと確認し合って帰った。

なーのーに!!私たちは時間を間違えていた。

考えてみろ!昼スタートの葬式とかそんな訳なくねえか???10時スタート、妹さんから連絡が来たのが9時30分、気付いたのが50分。

とりあえず用意する!ってバタバタ走り回りながら気付いてしまった。

私ら集合時間に集まれたこと無いなあって、でも私達らしくて最高なんじゃ無い?って不謹慎なことを思いながら笑った。

会場に到着して、滞りなく進んでいく葬儀。大好きなお花に囲まれる彼女を現実味無く見つめた。

火葬場には行かなかった。行かないと決めた。

家族の時間にしてほしかったというのを建前に、形なくなる彼女に向き合えなかった。

お通夜から葬式、次の日もきちんと仕事にいった。何かをしていれば考えなくて済むから。弱かったなあ。

私の2019年一番の後悔は何も考えずに過ごそうとしたこと。感情の置き場が分からないまま、逃げて、生活することに没頭した。

その時しか感じれん気持ちと、考えてあげれなかった事がたくさんあったのに本間に馬鹿だよなあ〜

その甲斐あって、私は彼女の死を1年経とうとしている今でも受け止め切れていない。

どこか長い海外旅行に行っているような気持ち、会おうと思えばまたいつか会える。まだ無理だけどねっていうクソ小説のお決まりのセリフみたいなことを思っている。

ふと思い出して寂しくなるときも、写真の中でも日傘女ってずっと笑ってるの。ずるくない?

一番可愛い姿で残ってるの。私史上最強の女。

私が歳をとって行くのに、あの子はずっと可愛いまま、出会った頃から可愛い彼女。

いつか私のことを羨ましいと言った日傘女、羨んでたし頼りにしていたのは私。

自分のことをあまり話さないあなたが、私といる時は楽しいと話してくれていた事実が後悔と反省を続ける私への肯定。

次会ったらとりあえず、諸々のことを殴らせろよ。そんで、馬鹿みたいに酒飲もうな。


私はこの話を1年間ほとんど口に出来なかった。軽率に口にして私自身が被害者みたいに思い出を語って泣くのが気持ち悪くて嫌だから。

やっと誰かに聞いて欲しくなった。自分で整理をしたくなった。私たちの関係を肯定するでも否定するでもない知らない誰かに向けて文章を書いた。

彼女の死を理解しつつ、受け止め切れてない私は一生受け止めずにいようと思う。

会いたくなったら写真を見返して、話したいときは愚痴を零して、誕生日にはLINEを送って、、私はそれでいい。

あ、あと年末にクラブに置き去りにされて、私は謎の銀行員男2人と3人で男の家で酒のせいか局部を見て粗チンかどうか判断させられるっていう行事を開催せざるを得んかったことだけはまじで許してないからな???覚えとけよ???

でさあ、結局どこいったん?

私たちはそれでいい。


キナリ杯っていうを目にしていい機会だから文章にできた。

きっかけをくれた岸田さんに感謝をしつつ、最後に会った彼女との1日を思い返している。











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