桜の発表会
お花見をしながらふと考えた。
桜はどんな気持ちだろうか。
今か今かと開花を心待ちにされ、一輪、二輪と咲き始めるとニュースに取り上げられ、満開になればたくさんの視線とカメラを向けられ、まわりではお祭り騒ぎだ。
やかましいなぁ、もっと上手に写してよ、恥ずかしいからこっちを見ないで
なんて話をしていたりして。
桜のピンク色は、たくさんの人に注目され恥ずかしげに頬を染めてるのではないか。
わたしはこんな想像をした。
この時期は、桜たちの発表会なのだ。
一年間暑さや寒さに耐え、風や雨を浴びてもじっと我慢をし、見てる人がいなくても一生懸命そこにいる。
すさまじい辛抱強さと、体力、精神力。
少しずつ寒さがやわらげば、そろそろだよ、そろそろだね、と蕾を膨らませ発表会への準備を進める。
桜にとって一年間の集大成、発表会の春が来る。
一番に咲いて注目の的になりたい花、せーので仲間と一緒に咲く花、五分咲きくらいの照れ屋な花、誰が咲くもんかとひねくれ者の蕾。
そんなふうに見ると、一層愛らしく感じるし、よく頑張った、とシャッターを押すより拍手をしたくなった。
お花見をしているみんなが拍手をする、なんていう光景も見てみたいし、そうするべきだとも思った。
花が散った後の桜の木はどんな気持ちになるのだろうか。
やっと終わったと胸を撫で下ろすかな、まだまだ見てくれよと拗ねてしまうかな。
これはわたしの想像の話だけれど、
発表会、大成功だったよ。