斉藤ナミ

創作大賞2023エッセイ部門受賞。 エッセイ・イラストで人を笑わせたい。 パンとグミと薬味が好き。

斉藤ナミ

創作大賞2023エッセイ部門受賞。 エッセイ・イラストで人を笑わせたい。 パンとグミと薬味が好き。

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自分でレーザー脱毛をして、目も当てられない恰好になった。

※追記:ずっとレーザー脱毛と言っていますが、正しくは「光脱毛」でした。 今日は私が家庭用レーザー脱毛器と真剣に向き合ってみた話をしたいと思う。 私ももう30代後半。そこまで露出した服も着ないし、見せる相手もいない。それでも、ふとした時に目に入るヤツら……。 お気に入りの下着を履いたところで、繊細なレースの隙間からはみ出て、すべてをぶち壊す物凄い存在感のあいつら… 背中に太ももに、昔からずっと変わらずビッシリと張り付いてるあいつら… 可愛く足の指にペディキュアしたって、そ

    • 『褒めてくれてもいいんですよ?』 〜はじめに〜

      「面白い人だと思われたい」「みんなを笑わせたい」という一心で、私はとあるコミュニティの会合に、クロワッサンのクッションをかぶって参加した。かぶるというか、クロワッサンの真ん中の窪みに無理矢理頭をはめ込んでいた。 初めて会う人が何十人もいる中で、どうにかして一発で私のことを「面白い人」として強烈に印象付けたいと思い、勇気を振り絞ったのだ。コミュニティ内で普段から「パンが好きです」とアピールしていたため選んだクロワッサン。枕のサイズくらいのクロワッサンをかぶっている以外は、黒髪

      • エッセイ本 『褒めてくれてもいいんですよ?』が出ます

        やっと。やっ……とこの日がやってきました。 11月に、エッセイ本『褒めてくれてもいいんですよ?』をhayaoki booksさんから刊行することとなりました。本日より、直販サイトで予約受付開始です。 振り返ると私がX(Twitter)で「エッセイ本が出ます」と告知しているのはなんと今年の3月。 書籍販売の告知なんて、普通は予約開始の1,2週間前とか。そんなもん。 どんだけ早く告知しとるんだ……! 自分の承認欲求のヤバさにうんざりしてしまう。 一刻も早く「ナミさん、ついに

        • それ、わたしの生姜焼き定食ですよね?

          21時頃。東京での仕事を終えて車で愛知県へ帰る途中、夕飯を食べていないし一息入れたいと思ったので、キリのいいところでサービスエリアに入ることにした。 21時のサービスエリアというと、人はまだたくさん居るものの、もう半分以上のお店のシャッターは降り、電気も消えており、賑やかな昼間とは全く違った雰囲気だ。 フードコート内の飲食店はもう1店舗しか空いていない。ここで食べるしかないか…。 サッと看板のメニューに目をやる。豚の生姜焼きや、唐揚げ、メンチカツなどのスタミナ系お肉メニュ

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          私はいつまでかわいそうな主人公でいるのか

          誰にだって辛い過去の一つや二つはある。私にもある。貧乏、宗教2世、一家離散、強迫性障害。どれをとっても苦しい経験だったことは間違いない。問題はそれをどれだけ引きずるのか。 いつまで「悲惨な星のもとに生まれ、次々に与えられし試練を乗り越え頑張ってきた伝説の主人公」という設定に酔っているのか。困難に耐えることがデフォルトで、問題が起きても根本の原因からひたすら目を逸らし続け、”耐える”で思考停止している。立ち向かえバカ。 「辛い経験も悪くない。だって傷ついた分、他人の傷みがわ

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          「しばしご歓談ください」がこわい

          この世でいちばん恐ろしいアナウンス。「それでは、しばしご歓談ください」 次点は「2人1組になって」。 「2人1組になって」は、大人になるとそうそう出くわさないけれど、ご歓談タイムは今でもたまに遭遇する。会社の歓迎会、結婚式の2次会、イベントの交流会、最近ではオンラインMTGなどでもアイスブレイクの時間が設けられている場合もある。 コミュ障である私にとってその時間は地獄以外の何でもない。ご歓談てなに。「さあ、どうぞ」って言われても……! 知らない人ばかりのご歓談タイムなん

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          嫁と姑の闘い おばあちゃんのカツラの変

          お盆休み。夫の実家に帰省した。 私の実家は中部の海。夫の実家は関西の山。 南海トラフ地震注意報が発令している真っ只中、どっちで被災してもヤバそう…と思いながらも「まあ来る時は来るわな。何よりもう米が無いから行くしかない」と腹を括り、米を貰いに……間違えた、子どもたちの元気な顔を見せに夫の実家へ行った。(義父が田んぼを持っており、帰省のたびに米を大量にもらう) 外気温は38度。山といっても普通に暑い。到着すると、ぷーんと漂ってくる肉の焼ける匂い。……まさか今日も? やはりカ

          嫁と姑の闘い おばあちゃんのカツラの変

          口の中が汚くてごめんなさい

          歯医者の予約は10時45分からだった。昨日「予約入ってますよ」のメールをもらっていたけれど、そんなもの見なくても3ヶ月前からずっと知っている。 この日の10時45分、定期検診とお掃除。忘れたくても、ずっと心に刻まれている。それだけ私にとって歯医者の予約というのは強烈に恐ろしく、心からどかせられない存在だ。 朝6時に起きてから「なんだか今日は喉が痛い。風邪かも。歯医者行くの、控えたほうがいいかな」と何度思ったことか。だって風邪をうつしてしまったら申し訳ないもんね? ほんとほん

          口の中が汚くてごめんなさい

          読書感想文でお金を稼いだことを誉めてくれたおばあちゃん

          小学校の頃、同級生たちの夏休みの宿題の読書感想文を代筆してお金を稼いだことがあった。お小遣いが欲しすぎたのだ。 もちろんそんな悪事は許されることではなく、最後には先生に見つかり、私は成敗された。反省もしている。 しかし、この世にたった一人だけ、その行いを誉めてくれた人がいた。おばあちゃんだ。 私の母の母である、おばあちゃん。九州から愛知へ逃げてきて建築会社を始めたおじいちゃんと結婚した。 昭和初期の九州男児の土建屋、と聞いて思い浮かべるイメージそのままの、亭主関白で少々

          読書感想文でお金を稼いだことを誉めてくれたおばあちゃん

          人生の答えを探し求めてゲイバーを訪ねた夜

          自分に自信が持てず、他人と比較して凹んでばかりの毎日。ありのままの自分なんてどこにも見つからず、拗らせっぱなしの人生。ああ、自分らしく幸せに生きるって難しい! 「幸せに生きるには」の答えがズバリと書かれている本とかないのか? そんな私に、医者の嫁で都会のタワマンに住むFカップの美魔女……つまり人生勝ち組の友達Mが声をかけてきた。 「ナミちゃん。いつも暗い顔して本読んでるよねー? もっと楽しく生きようよー」 そりゃああんたみたいに顔がかわいくて爆乳で性格も明るくて誰とでもす

          人生の答えを探し求めてゲイバーを訪ねた夜

          エッセイを書こう! 「面白い文章」とは?

          ー面白いエッセイを書くにはどうしたらいいか? 常に考えている。 先日、noteさんからメンバーシップシステムのご紹介をいただいた。 今は創作大賞2024へ応募する作品を書くタイミングであり、夏には今の力を全部込めたエッセイ本を出すタイミングでもある。ちょうどいい。 自分なりの書き方がぼんやりとあるけれど、なんとなくでやってきたので、ここらで一旦、棚卸しして整理してみようと思い立った。 しかし、いざ最初の投稿(これ)を書いてみていると「これは参考になるのか? 本当に面白いの

          エッセイを書こう! 「面白い文章」とは?

          「私のことなんて誰も必要としていない」の治し方

          朝起きて、もう全然だめなときがある。 生理前か排卵期? カレンダーを見るけれど、そんなタイミングではないっぽい。じゃあ、あれかな? 昨日読んだ素晴らしいエッセイと自分のダメさを比較して絶望してる? それとも、だいぶ前に浴びた、あの人の心ない一言が今頃効いてきた? わかんない。なんだっていい。とにかくもう全然ダメ、って日がたまにある。 あの人もこの人も家族も友達も、私の話なんか聞いていないようにも思えてくる。適当に話を合わせてくれているけど、他のことを考えているし、なんな

          「私のことなんて誰も必要としていない」の治し方

          「で、ハルマゲドンはいつくるの?」 みみず腫れと「愛のムチ」 宗教2世日記③

          昼間の住宅街を通ると、ごくたまに見かける数人組の異様な雰囲気の人たち。色もデザインも控えめで、真面目そうに見えるワンピースやスーツを着て、大きめのカバンをぶら下げている。「エホバの証人」たちの訪問勧誘のご一行様だ。 夕方から夜にかけての時間に「王国会館」という文字が書かれた施設に続々と集まってくる様子を見かけることもある。王国会館では、主に聖書や、それにまつわる書物についての勉強会が繰り返し行われていた。こちらは「集会」だ。 そこには、品が良さそうではあるけれど、同じよう

          「で、ハルマゲドンはいつくるの?」 みみず腫れと「愛のムチ」 宗教2世日記③

          耳から高橋一生を摂取するということ

          みなさん、オーディオブックというものをご存知ですか? 私は知りませんでした。いや、知っていました。しかし、こんなエグいものだとは知りませんでした。 Amazonでも配信されている。Amazonで私は年間何十冊も本を買っており超お世話になりまくっているが、今回初めて知っておったまげたのがこちらの商品。言わずと知れた村上春樹氏の『騎士団長殺し』。……の、オーディオブックだ。 オーディオブックってあれでしょ?本を自分で読まなくても誰かが読んでくれるのを耳で聴く、的なやつでしょ?

          耳から高橋一生を摂取するということ

          「で、ハルマゲドンはいつくるの?」 恥ずかしくて辛かった学校生活 宗教2世日記②

          長男がもうすぐ小学校を卒業する。春からは中学生だ。 幸運なことに子どもたちはとてもいい友だちや先生に恵まれ、毎日楽しそうに登校している。帰宅後や休日は、友だちと公園に遊びに行ったり、部活で試合に負けて悔しそうにしていたり、子ども時代を存分に楽しんでいる様子だ。 陰キャでコミュ障なおどろおどろしい私から生まれてきたとは思えないほど明るい性格で、捻くれることもなく真っ直ぐ生きてくれていて、とても嬉しい。そして、羨ましい。 子どもたちが通っている小学校は、私が子どもの頃、2年

          「で、ハルマゲドンはいつくるの?」 恥ずかしくて辛かった学校生活 宗教2世日記②

          「で、ハルマゲドンはいつくるの?」 クリスマスを祝ってみたかった 宗教2世日記①

          「サッカーボールと、フォートナイトのVバックスをください。それと……」 子どもたちからサンタへの手紙には、クリスマスに欲しいものがフィンランド語で書かれていた。サンタさんはフィンランド人だから、わざわざ翻訳アプリを使って写して書いたのだそうだ。 うーん……英語ならまだしもフィンランド語なんて一個もわからない。こりゃあ1文字ずつ入力して日本語に翻訳しなおすしかないっぽい。 2個も3個もずうずうしいなあと思いつつ、フィンランド語で書くというホスピタリティには感心した。さすが私

          「で、ハルマゲドンはいつくるの?」 クリスマスを祝ってみたかった 宗教2世日記①