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狂気と同居した江戸
歌川国芳画《小倉擬百人一首 河原左大臣 文ひろげの狂女》(1845-48年頃、ボストン美術館蔵)
みちのくの しのぶもじ摺 たれゆえに みだれそめにし われならなくに
浮世絵には狂気の描かれることが多い。狂気に美を見出す精神だ。
近代以前の社会は狂気と平気で同居していた。近代が狂気を街路から排除し、隔離し、収容していったのだ。
狂気との同居、死との同居に現代社会は耐えられるのだろうか。
けれど未来はイメージするときは、このような懐かしさが必要とされるだろう。
詞書
小野のお通に遣へし千代といへる女也 文の通にもうとからす 情あるものなり のち夫にわかれてより 心ミだれ 一巻の文を箱に入れ 首にかけて 山の木かげ 又月の夜ハ五条の橋の辺なとに 彼文を高らかによミなどし 獨言いひて狂ひあるきけり