おでんくんのメインどころ
昔からの友人に会ったついこないだ。パン好きな私たちはパンをめぐる旅をする仲なのだが、お互いが人生の岐路に立っていることもあり記念にフレンチビストロでおしゃれにご飯をいただいた。そんな彼女はレストランに着くと持っていた可愛い紙袋の中から「はいこれ。好きだと思って。」と手土産を渡してきた。
コッペパンの神々しさ
袋を覗くときれいに形が揃ったコッペパンが二つ。「冷凍もできるし、次会えるのいつかわからないし。」と照れくさそうにいう彼女を思わず抱きしめそうになったくらい嬉しかった。その瞬間から彼女が私にとって人生で初めてコッペパンをくれた人になった。(←ハイジみたい笑)
茶色と白の層が横から見るとくっきりと境目になっている。表面は綺麗に照りが光る。ずっしり感がなんか貫禄があるなぁ。そう思って愛おしく眺めているとコースの一品目がでてきて、すぐそちらに夢中になった。
明日の朝ごはんを考えながら
楽しすぎた会話と食事、長く別れるのを惜しむ私と友人。そんな風に感傷に浸って彼女の小さくなる後ろ姿を眺めた。
彼女が振り向かなくなったことを確認し、帰路につきながらもらった紙袋を少し歩いては覗き悲しい気持ちがワクワクする気持ちに混ざるのを待った。
歩き始めて5分ほどした時。急に「明日の朝はたまごサンドコッペだ!」と家に帰り、たまごをゆでた。
ゆでたまごといえば
お湯の中で踊るゆでたまごを見ながら、あぁそういえばアニメ”がんばれ!おでんくん”には白いたまごちゃんとがんぐろたまごちゃんと2人でてくることを思い出した。そう、ゆでたまごはメインキャストに二役も食い込むそんな存在なのだ。(当の私は唇が厚いことからおでんくんとよばれていた)
そんなこんなで卵を引き上げ、中の半熟さを祈りながら殻を剥いた。
ゆでたまごの思い出
ゆでたまごの思い出といえば、母VS祖母のゆでたまごという話がある。母のゆでたまごは昔からなぜかむくとがたがた歪な形になる。それに対して父方の祖母はゆでたまごが本当に上手でつるんとした表面は鏡のようだった。しかも祖母はエッグスタンドを持っておりエンタメ性も抜群だった。
そんな二つのゆでたまごを味わい比べ兄弟と「おかあさん、ゆでたまごの作り方習いなよ」と大口を叩いていた。母は全然気にしていなかったそぶりだったのに気づけば殻に穴を開ける機械やらお酢を少し入れたりやら。たまごはどんどんまん丸に近づいていったのだった。
自分のキッチンで
小さいながらも自分のキッチンがある今。夜な夜なゆでたまごの殻を剥きながら、私は祖母の血を受け継いでいると確信する。ゆでたまごで歪になったことはないし、今回もなにもせずともツルツルだ。でも母が剥いてくれたあのゆでたまごに私のたまごサンド用ゆでたまごは勝てないに決まっている。もちろん言うまでもなくあの祖母のエッグスタンドのたまごにも。
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