飯田祐介@映像企画パンドラの箱

こんにちは!これまで小劇場の台本や構成を担当したり、自主制作映画をこしらえたりしてきましたが、お休みしていたら周りに誰もいなくなってしまったので独学でアニメ制作に七転八倒してます!よろしくお願いします。

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最近の記事

大島渚マラソン#06「天草四郎時貞」(1962)実験的野心あふれる異色の東映時代劇【ネタバレ映画感想】

大島渚的、異色の東映時代劇松竹を飛び出て「飼育」というスゴイ作品を作り上げた大島渚監督、翌1962年はなんと東映に招かれて時代劇を撮ることになります。こんな才能あふれる若い監督を放っておくわけはないのですが、現代の日本のあり様にケンカを売り続けてきた大島監督に東映時代劇はちょっと予想外な感じもしますよね。 「飼育」で大暴れの果てに燃やされてしまった石堂淑朗がまた脚本(大島監督と共同)に復帰、チャンバラ映画らしくない政治論争を持ち込んで、これがまた奇妙な魅力を産み出してます。

    • 大島渚マラソン♯05「飼育」(1961)丸く収めりゃOK!元祖怖い村、閉鎖社会の闇【ネタバレ映画感想】

      これぞ、元祖こわい村映画デビューから二年目の1960年、「青春残酷物語」「太陽の墓場」「日本の夜と霧」といきなり濃厚な三連発をぶち上げた大島監督ですが、「日本の夜と霧」上映打ち切り問題で衝突して松竹から退社、翌1961年にパレスフィルムプロダクションで製作されたのがこの「飼育」です。「大宝」という聞きなれない配給会社のマークで始まりますが、これは倒産した「新東宝」の分社化で作られ6本の配給で消えた幻の会社だったのですね。冒頭の「映画界の新しい魅力」という惹句が切ないです。

      • 大島渚マラソン#04「日本の夜と霧」(1960)もしも朝まで生テレビする結婚式があったら?【ネタバレ映画感想】

        松竹が公開4日で上映を打ち切った問題作!と、大島渚監督4作目「日本の夜と霧」と言えばまずこの言葉が紹介されます。1960年、公開4日目の10月9日にあの浅沼稲次郎暗殺事件が起こり、松竹はこの政治色の強い作品への暴力的な反応を恐れ、大島監督に無断で上映を打ち切りました。これが大島渚が松竹を退社するきっかけになったようです。 60年前の政治的状況が今ひとつピンとこない私に楽しめるか不安だったのですが、見始めてしまえば、工夫を凝らした構成と演出、ほとばしる異様な熱量に圧倒されてあ

        • 大島渚マラソン♯03「太陽の墓場」(1960)~60'爆裂都市:愛と哀しみの釜ヶ崎黙示禄【ネタバレ映画感想】

          この匂い立つ生命力をくらえ!前作「青春残酷物語」では、欲望を貫くことで社会にぶつかり自滅していく青春を描いた大島渚。三本目となる今作では、舞台を渋谷から大阪釜ヶ崎へ移し、プンプン匂い立つほどの生命力溢れる人々が入り乱れる群像劇。暴力的で破滅的な内容ですが、おもしろく哀しい人生の縮図であり、観るとなぜか元気になれる大傑作です。 戦後から復興しつつある大阪釜ヶ崎のドヤ街にオープンセットを組み立て、街頭ロケも溶け込ませた虚実あいまいな世界観が素晴らしく、真っ赤な夕日をバックに工事

          大島渚マラソン♯02「青春残酷物語」(1960)~怒りと欲望で社会革命?【ネタバレ注意】

          無理無理!共感度ゼロの主人公極私的な話題で申し訳ないのですが、私の名前「祐介」の由来を母親に聞いてみたところ「誕生当時、川津祐介がカッコ良かったから」と、かなり軽薄な命名由来が明らかになりショックを受けた覚えがあります。名前を頂戴し他人とは思えないそんな川津祐介が、この映画の主人公、大学生の清なんですが、とてもあやかりたくないヒドい男でした。家庭教師先の母親と寝て小遣いをせびる、なんでも暴力に訴える、女の子を殴って手に入れる、彼女が妊娠すれば堕胎をせまる、など欲望の赴くまま、

          大島渚マラソン♯02「青春残酷物語」(1960)~怒りと欲望で社会革命?【ネタバレ注意】

          大島渚マラソン#01「愛と希望の街」(1959)断絶を描く衝撃のラストにしびれる!(ネタばれ)

          いまなぜか、大島渚始めたばかりの映画レビューをずいぶんサボっておりまして、久しぶりの投稿になります。映画館へ行ったり、サブスク配信映画を眺めたり、相変わらずの生活なのですが、鑑賞後にレビューを書こうと思うまでに心が動かないのです。これは観た作品に非があるわけではなく、私には定期的にあることで、心が塞がって他者の感性をなんとなく受け入れずらくなる期間があるんですよね。 風穴をあけるような何か刺激的な作品が必要です。映画というメディアへのリスペクトをきちんとした作品ではなく、既

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          映画「子供はわかってあげない」ネタばれ映画感想~まじめに悪ふざける切実な可笑しさ

          「場」が紡ぐ「物語」、「心」が紡ぐ「場」一年遅れの公開となりました沖田修一監督の新作「子供はわかってあげない」を観てきました。冒頭、主人公の女子高生朔田美波(上白石萌歌)がアニメ「魔法左官少女バッファローKOTEKO」を観て涙を流すシーンをじっくり見せていきます。手巻き寿司を用意している母(斉藤由貴)、帰宅して一緒に「KOTEKO」に見入る父(古舘寛治)、と平和なリビングに風呂上がりの弟が裸でヤンチャにはしゃぎまわります。ふと、ン十年前に見たある映画のシーンが思い浮かんでしま

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          映画「キネマの神様」ネタばれ感想~愛すべき馬鹿の居心地悪い時代

          代役なんていったん忘れて昨年からの大規模な災厄によりいろんなことが当たり前にいかなくなってしまったわけですが、映画業界もしかりでありまして、この作品「キネマの神様」もそのウネリに翻弄された一本であります。主役の急逝から、感染防止策での撮影現場、そして公開の延期に次ぐ延期と、今年90歳を迎える山田洋次監督の困難と奮闘のニュースがいろいろと耳に入ってきたのですが、こういうことが映画に向き合うときに余計なフィルターをかけてしまうものですね。まずは無事に公開おめでとうなのですが、作品

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          映画「Arc アーク」感想【ネタばれ】~描かれなかったリナの生

          石川慶監督の近未来SF作品石川慶監督作品「Arc アーク」(2021)観てきました。石川監督と言えばポーランドの王立ウッチ映画大学で演出を学ぶという経歴の方で、撮影監督のピオトル・ニエミスキとのコンビによる「愚行録」(2017)、「蜜蜂と遠雷」(2019)が高い評価を得ています。二作品とも異国人の眼を通しているからなのか、どこか異化された日本の風景が硬質な美しい映像で描かれ、語り口も感情を抑えて淡々としながらも激しい情念を感じさせ、確かな見応えが印象に残っています。 今回の

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