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藤子・F・不二雄さんが伝えたかった事

子供の頃に観ていた大長編版の映画ドラえもんシリーズを定期的に観るのですが、大人になって見ると違う視点が出てきたり、新たな発見があるなと思います。
今回はこちらの作品について紹介致します。

1997年公開 大長編シリーズ18作目『ドラえもんのび太のねじ巻き都市冒険記』

あらすじ

ドラえもんが引いた22世紀の世界の福引での小惑星の引換券により、大自然の豊かな美しい星を手に入れた。そこでドラえもん達一行は町作りと共にお気に入りのおもちゃを持ち込んで、道具である「生命の(いのちの)ねじ」を使って命を吹き込み、おもちゃの町「ねじ巻き都市」を作る。更に道具のタマゴコピーにより人口増加をさせ、おもちゃ達は知性をも兼ね備えていき自然を大事にする社会を形成していく。そこでジャイアンとスネ夫は排気ガスを出す車や森林伐採による都市開発を進めてしまうが、自治の発達した社会のおもちゃ達に止められ断念し、一行はそれに了承しおもちゃ達と共存していける様に協力していこうとする。
また一方で、のび太の部屋の窓から脱獄囚の男が忍び込み、たまたま置いてあったどこでもドアから、ねじ巻き都市に入り込んで、ドラえもん一行を脅かして自分のものにしようとするが…

藤子・F・不二雄氏の遺作となった

この映画が藤子 ・F・不二雄氏の遺作となったのですが、製作中での死去なので原稿があったのは半分程度だったとか。あとは藤子プロのスタッフ陣が、生前の作者が話していた事や残されたアイデアノート等から引っ張り出してなんとかイメージ像を生みだし、作品を完成に導いていったそうです。

ちなみに、これらの情報は藤子・F・不二雄さんの長年アシスタントとして働いていた、むぎわらしんたろうさんという漫画家の方が、当時のエピソードを描いた漫画からです。(↓リンク参照)
むぎわらさん視点でどれだけF・不二雄さんを尊敬していたか、そして『…ねじ巻き都市冒険記』を作り上げるまでに、「先生(F氏)ならここをどう描くだろう…先生…これで合ってますか?」と、もう側には居ないF氏に問いかける様に不安になりながら完成に導いた経緯に、こちらまで胸が熱くなります。
熱血的なむぎわらさんとF氏の関係性も素敵ですし、こんな2人みたいに誠実に生きていきたいと思わせてくれる漫画でした。お薦めです😌

作者がこの映画で伝えたかった事はなんだろう。
〜ネタバレ注意〜

私がこの映画で一番感動したのは、
ラストほんのちょっとの短いシーンなのですが、のび太が自分の役割を認識し、最後の敵をやっつけることに率先して活躍してくれた事です。

かつて地球に生命の種を撒いたとされる創造主から、のび太達が自然との共生に向き合おうと努力する姿を見て、「自然を大切にしてくれる君たちならこの星を任せられる」と託されることになります。
そしてラスト、ねじ巻き都市を乗っ取り、環境破壊して建物を作ろうとする敵とのび太が森の中で戦うのですが、相手は本物の銃をもっており、何度ものび太を目掛けて撃つのですが、森の木々が味方をしてのび太を守ってくれます。そして最終的に、射撃の名人であるのび太が、撃たれたら体が一時的に膨らんでしまう「フワフワ銃」で敵を仕留め、捕まえることに成功してめでたしめでたし、となります。

よく知られているのび太のキャラクターは、のろまで勉強が苦手で、からかわれやすく、不器用で…と言った感じだと思うのですが、のび太の得意なことが生かされて皆んなが救われるシーンを見ると、自分には何の取り柄もなくて非力だと思っても、どんな人にも得意な事や出来る事があり、それが役に立つ日が来るから、めげずに探しながら前向きに生きなさい、と言う最後のメッセージにも感じられるのです。(これを書きながらでも涙が🥲)
藤子・F・不二雄氏は子供の頃、病弱でいじめられっ子で、SFにはまったり、絵を描いたりして自分の世界に入り込んで過ごす子供だった事から「私は昔、のび太でした。」と言葉を残しているものがあるようです。
※(少し違ってたらゴメンナサイ。だいたいそんな感じの内容をどこかで見たのを思い出したので)
ドラえもんの話では作者はそんな自分の昔の事を思い出しながらも、現代に生きる子供達にも、そして親御さんにもそう伝えたかったのではないかと。

そして、理系の知識に長けている作者はドラえもん作品の中でも幾度となく、人間社会のあり方やと動物や自然を大事にする事を訴えており、視聴者に分かりやすくキャラクターを通じて地球環境を守るアイディア等を散りばめて教えてくれています。子供の頃はあまり分からなかった…と言うか興味が持てなかったのですが、危機がもっと迫っている今では本当に胸に刺さるものがありました。
これは作者が、ドラえもん全体を通して普遍的に取り入れてた部分であり、忘れてはいけないメッセージであると私は思っています。

Amazon primeで視聴可能なのでぜひお子さんと一緒に、またはあの頃を思い出したい方は視聴いかがでしょうか😃

また私は、故・大山のぶ代さんのドラえもんで育った子供なので大山ドラの声を聴くと懐かしく、感慨深い気持ちにもなります。

大山のぶ代さんが天国でまたドラえもんを演じたり、先に亡くなられた旦那様と再会し、安らかに過ごされているといいなと願うばかりです🙏

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