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大麻合法化で急増、「大麻グミ」などの誤食

大麻成分を含むキャンディー、チョコレート、クッキーなどの食品は見た目が一般のものと変わらず、大人でも、そうとは知らずに口にしてしまうことがあるかもしれません。しかし、こうした食品には大麻成分が多く含まれていることがあり、特に体重の少ない子どもが誤って摂取すると、深刻な健康被害につながる恐れがあります。大麻の合法化が進んでいるアメリカ、カナダなどでは、合法化にともなってこうした事故が急増していることがわかっています。

カナダでは2018年に非医療目的の大麻が合法化され、続いて2019年からは大麻成分を含む食品などの販売が可能となりました。これらはいずれも18歳以上の成人を対象としたものですが、菓子などに大麻成分を入れたものが普及するにつれ、子どもが誤って食べる事故が増えています。

12歳未満の子どもが大麻成分を誤って摂取し、救急受診した件数を10万人当たりで計算すると、オンタリオ州では2015年には0.3件だったのが2019年には5.5件、2021年には18.1件と急増していました。ケベックを除くカナダ全国で大麻の誤食が原因の入院件数を見ると、12歳未満の子どもの入院は人口10万人当たり0.5件(2015年)から6.4件(2021年)と急速に増えており、特に、食品などが合法化された2019年(2.1件)と2021年を比べると、3倍以上の大幅増となっています。

カナダにある11ヶ所の小児病院と9ヶ所の一般病院の救急受診データを分析したところ、12歳未満の子どもが大麻を含む食品などを誤って食べて受診したケース(2015-2021年、計293件)のうち、原因となった食べ物で最も多かったのはグミ(143件)、続いて飴(37件)、クッキー(32件)、チョコレート(26件)などでした。

子どもが誤って摂取すると、体の動きが鈍くなる、呼吸が浅くなる、だるさ、けいれんなどを起こす可能性があるほか、命にかかわるような深刻な事態も起こりえます。

アメリカでも、大麻の合法化にともなって、子どもの誤食事故が増えています。5歳以下の子どもが大麻成分を含む食品を誤って摂取する事故について、全国規模の中毒データを用いて分析した研究 (Tweet et al., 2023) によると、事故件数は207件(2017年)から3000件超(2021年)と、急拡大しています。2017年以降、医療目的、あるいはそれ以外の目的でも大麻の使用が許される州が増えており、著者らは子どもと接する医療従事者に対して注意を呼び掛けています。合計7千件を超える中毒ケースのうち、1539件(21.9%)は中程度の症状、155件(2.2%)は強い影響が見られ、残りは軽症でした。誤食のほとんど全て(97.7%)は家庭で起こっていました。
Marit S. Tweet, Antonia Nemanich, Michael Wahl; Pediatric Edible Cannabis Exposures and Acute Toxicity: 2017–2021. Pediatrics February 2023; 151 (2): e2022057761. 10.1542/peds.2022-057761

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