能登半島地震から1か月後に「通れた道」
元旦の大地震から1か月余り経ちました。ここでは、現時点での道路の復旧状況と、ITS Japanに加え、AIGIDと国土交通省による「通れた道マップ」についてまとめました。データは日々更新されているので、これらの最新情報を総合的に見ていくと、現地の今の状況を把握する一助になると思いました。(カバー写真は国土交通省「令和6年能登半島地震・道路復旧見える化マップ」)。
道路の復旧状況
特定非営利活動法人ITS Japanが地震後すぐ公開した被災地の乗用車・トラック通行実績情報マップについては1月6日の「能登半島通れた道マップ」で説明しました。本日のところ(乗用車は1月31日まで、トラックは30日までの実績)はこんな感じになっています(図1右下)。能登半島の主要な道路(左)は「通れた道マップ」で使用したものと同じですが、道路と通行実績の比較がしやすいように、緊急輸送道路の色をオレンジに変えました。地震直後と比べると道路の復旧が進んでいる(青と緑が増えている)ことがわかる一方で, 紫の円で示したところには、主要な道路があるはずなのに、通行実績がありません。さらには、ITSのマップで乗用車・小型・大中型トラックそれぞれの実績を見ると、トラックは通っているが、乗用車は通っていないところが多くあることがわかります。半島の広い範囲で、復旧工事などのため、一般車両の通行が制限されているのではないかと想像できます。
ここでちょっと脱線しますが、通れる道が少ない中で、どうやって道路の復旧をしたのでしょうか?工事には多くの建設会社が関わっていますが、工事に必要な人員と、ブルドーザーなどの重機をどうやって現地に届けたのか?まず、自衛隊の皆様は徒歩(!)。文字通り、道なき道を何キロも歩いて、工事が必要なところへ。
そして、重機はというと、金沢から、名古屋から、新潟から行ったんでしょと思われるかもしれませんが。いやいやいや。道路が通れないんだよ。道路を直して通れるようにするための重機が、必要とされているところまで到達できないんですね。そこで出番が来たのが 海上自衛隊のエアクッション艇 Landing Craft Air Cushion(LCAC、エルキャックというみたいです)。LCACはホバークラフト。輸送艦は巨大なので、岸に近づけない。近づくことができたとしても、重機を岸に移すのは難しいので、運ぶモノや人をLCACに移して、LCACが着岸するということ(らしい)です。輸送艦「おおすみ」に搭載されているLCACが、人員と重機を載せて石川県輪島の海岸に上陸する様子は統合幕僚幹部のYouTubeチャンネルで見られます。
AIGID、国交省も通行実績マップを公開
車の通行実績を使って道路の状況を把握し、即時、公開したのは ITS Japan だけではありません。G空間情報センターを運営する社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)は地震が発生した1月1日、「リアルタイム災害情報提供システム(RTDS)」を運用、道路の車両通行実績や住宅の被害状況などの提供を開始しました。RTDSは地図上で見たい情報を選んで重ねられるWebGISで、地震翌日(1月2日)の通行実績データ(パイオニア社のデータを使用)を見ると、地震直後の能登半島が陸の孤島化していたことがうかがえます(図4)。
続いて国土交通省は2024年1月12日、独自のWebGIS「道路復旧見える化マップ」を公開しました。こちらもレイヤを重ねるWebGISなので、アイコンやら色やらがいろいろあって読み方がわからない…場合はレイヤの選択をすべて外し、一つずつ見るとよいと思います。図5の例では、「緊急復旧済み区間」だけを表示しています。対応した機関によって色分けされていて、自衛隊は緑(珠洲周辺など)、国交省は群青、石川県は茶色です。
国交省の見える化マップでは、走行速度も見ることができます。ETC2.0プローブデータ(平均走行速度)をマップすることで、車両の通行がスムーズに行っているのかどうかをある程度把握することにつながります。ここで表示されているのは2月3日の午前8時から午前11時までの平均速度で、全体として時速31キロ以上のところが多いですが、輪島と穴水周辺などで時速20キロ以下、または10キロ以下のところも見られます。
In a nutshell….
The January 1 earthquake in Ishikawa, Toyama, and Niigata prefecture activated a number of emergency disaster response mechanisms in Japan. Among them are a few web GIS resources that show the latest traffic data in the affected region. The use of bidirectional GPS to map "passable roads" in the aftermath of a large earthquake (and/or tsunami) first received attention in the 2011 Great East Japan Earthquake.
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