嵐の予感。うちにポチが来る。
来週うちにポチが来る。黒ラブの子犬。ご主人が昨日私を撫でながら「良いお姉ちゃんがいるから大丈夫だと思います!」と電話で話していた。
私がお姉ちゃん?
その日以来、チュールしか喉に通らない。
先住猫の葛藤
そもそも私という猫がいながら、なぜもう1匹迎える決心をしたのか。きっとご主人は里親という大義名分を盾に新しいワンコを可愛がりたいだけなのだ。絶対そうだ。その証拠に先程から子犬用のボールやクッションを次々とネットショップのカートに入れている。検討中だったキャットウォークはどこにいったのだろうか。
子犬を迎えるにあたって何が大切か。そんなの、後にも先にもこの「私」である。大先輩の私。何年先輩だと思っているんだ。10年だぞ。10年間玄関先からカーテンレールの上まで私のナワバリなんだ。先住猫の私に「子分要りませんか?」とお伺いを立ててから招くのが筋ってもんだ。
まあ、100歩譲って迎え入れても良い。ご主人も嬉しそうだ。でもこれは私の猫生(ニャン生)に関わる話である。私との交渉なしに進めていい話ではない。これはあくまで譲歩である。
先住猫の交渉
まずは私の居場所をしっかりと確保すること。
バカ犬に言葉で言い聞かせるとかそんなことじゃなく、しっかりと私のスペースを物理的に作ること。この際、今までなあなあにしていたキャットウォークの導入を実現化しようか。あと、犬は極力ケージに入れて住み分けすること。犬みたいに遠くまで散歩するわけじゃないんだから家の中では私のスペース確保を優先させてもらう。
次に餌は別々で食べること。
私は一瞬で餌皿を空にして勝手に誤嚥するバカ犬ではない。ゆっくりと上品に食べる私との違いを理解してもらわなければ困る。SNS映えのために隣で食べてなんてぬかしやがったら、この間うっかり割ってしまった花瓶のように、今度は意図的にスマホ画面を割ります。
あとは、無理に仲良くさせようとしないこと。
たぶんバカ犬はかまわず私のテリトリーに踏み込んでパーソナルスペースとか関係なく距離を詰めてくるだろう。だから無理にくっつけたり引き合わせたりすることはしないでくれ。前から言おうと思っていたがなんだこの首の鈴は。すぐ外せ。バレるだろ居場所が。私のタイミングで仲良くなれると思ったら、子分の資格があると思ったら近づくから。私が子犬を八つ裂きにしないようただ草葉の陰から見守っていてほしい。
先住猫の願い
我が家にポチ(仮)が来ることは近所の猫にも話が回っているらしい。この前家をこっそり抜け出したときにうっかり話してしまったサバ猫にしっかり口止めしておけばよかった。面白おかしく野良にまで話が回っているみたいで、私が慌てふためく様子を見にくる輩が増えるに決まっている。
やつが来るのは2週間後。子分としての自覚を植え付けるには生後半年というのはちょうど良いのかもしれない。時には力でねじ伏せる必要もあるだろう。ボクシング(猫じゃらし)に通う頻度を増やそう。それとキャットウォークの導入は絶対に必要だ
まあ、子分ができればこのエリアの猫にも一目置かれる存在になるだろうし、悪いことばかりではないのかもしれない。それでもやっぱり慣れるまでは相当大変でストレスはかなりのものになるだろう。病気になったりもするかもしれない。飼い主は動物にとってストレスがどれだけ病気にかかわるものか理解しているのだろうか。サウナとかないんだぞうちらには。さあそうなったらどうする?そういう可能性全部ひっくるめてニヤニヤスクロールしてるんだろうなお前は。
もしどうしても耐えきれなかったら、私は出ていく。私が開発した寝室の網戸のギリ通れるくらいの穴。そこから出ていく。
さあ、これからのプラン、納得するプランを教えてくれ、ご主人。