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ネパールで直腸検査デビューした話

「直腸検査」と言っても
これは動物のお医者さんとして検査する側のお話

直腸検査(略して直検)とは?:
牛の肛門から手を突っ込み直腸壁越しに卵巣を触診する検査手法。
主に、繁殖検診などで卵巣の状態を確認するために用いられる。

私の直検デビューは大学1年生の春休み
ネパールの空き地だった

写真で蘇る記憶

だだっ広い空き地にわんさかと集められた牛たち

中にはヤギを連れてきている人もいて、
モーやメーがあちこちで聞こえていた

この日は月に1回の繁殖検診で
近所の農家さんが獣医に診せるため
この空き地に牛を連れてきていたのだ

研修で訪れた私たちも、
一緒に参加させてもらえることになった

どんどん牛たちが柵にセッティングされていく

おろおろしている間に獣医さんが
私を水牛の肛門前に立たせ、
私の左手に直検手袋をはめ、
私の腕を肘までローションでヌルヌルにしている

「ハイ!ヤッテミテ!(ネパール語)」

同行していた日本の先輩に
あらかじめ直腸検査とはなんぞやを聞いていたものの

解剖学でさえまだ勉強していない
直腸検査なんて初めて聞いた
そんな状態の当時大学1年生の私

肛門に手なんて突っ込んでいいの?
と思うくらいの超ビギナーである

素人に手を突っ込まれる
水牛が1番かわいそう

え、ハ、ハィィィィ…
では、失礼しまぁぁぁぁぁす

兎にも角にも、
目の前の水牛の肛門にエントリーする

本当に挿れていいの?

あれ、これ結構、肛門キツめだけど、
ほんとに手挿れていいの?
大丈夫そ?

肛門前でまごまごする私を見て、
隣にいた先生が私の手を鋭くさせて
お尻にグイグイ手を肘まで突っ込ませる

「子宮・卵巣を触るのよ〜(ネパール語)」


水牛は惑わない

何をどうすればいいの…?

「これは農家さんの家計を支える大事な牛だからね」
と釘を刺されていたこともあって
私は強力な肛門括約筋による
腕の鬱血を感じながら
ただただ直腸壁をなでなでしていた

同行していた6年生の先輩にコツを聞いても、

小動物希望だから知らない

と言われ(冷たい)、
ただただ暖かい空間の中で手をモゾモゾとしていた

家畜は農家さんの財産

そんなこんなで次の人にターンが移り、
水牛の肛門の締め付け具合を経験値として手に入れた
私の人生初めての直腸検査は終了した


農家の子供たち

空き地には農家の子供たちが来ており、
スペインの獣医学生が直腸検査をしている間
ずっと彼らと一緒に遊んでいた

手袋を外したそのままの手で
農家の子供たちと一緒に
甘いチャイとビスケットを食べた
(衛生面ガン無視)
うま!
あれ、、、
なんか浮いてる…?(悲)

学年が上がるにつれて
卵巣を触れるようになり、
今は無事に獣医として仕事をしているけれど(牛じゃないけど)

当時感じた直腸内のブラックホール加減は今でも覚えている


牛の獣医さんってすごいねって話でした

牛の獣医さんになった当時の先輩

終わり

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草刈 パンダ
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