995:9月13日「廃校問題」をデザイン思考で考える。
9月13日「廃校問題」をデザイン思考で考える。
廃校を活用して再生可能エネルギーや新たな産業を地域に取り込むという発想
持続可能なまちづくりに直結するものです。ここでは、その具体的な可能性をデザイン思考の視点でさらに深掘りし、実現のシナリオを考えてみましょう。
廃校を活用したPPA(電力購入契約)と再生可能エネルギー供給
1. 廃校の屋根や敷地を活用した太陽光発電
廃校の建物や広いグラウンドを利用し、ソーラーパネルを設置することが考えられます。こうした発電設備で作られた電力をPPA(Power Purchase Agreement)として地域に供給し、地元住民や事業者が利用できる仕組みを整えることができます。
特に地方では、電力供給が安定しないこともあるため、地域のエネルギー自給自足を目指す取り組みは非常に意義深いものです。
デザイン思考で考えるポイント:
- 地域住民や自治体との協力体制を構築し、彼らのニーズに応じたエネルギー供給の仕組みを設計する。
- コストや運用面での課題を住民とともに考え、持続可能な運営モデルを共同で模索する。
- 住民がエネルギーの重要性や再生可能エネルギーのメリットを学び、意識を高められるような教育プログラムを並行して実施する。
2. 小規模風力発電やバイオマスエネルギーの導入
太陽光発電に加えて、地域の特性に応じた小規模な風力発電や、バイオマスを活用することでエネルギーミックスを構築することもできます。
これにより、エネルギーの安定供給が可能となり、地域の災害時にも電力が供給できるレジリエントなシステムが確立されます。
廃校を活用した植物工場や陸上養殖
1. 廃校内での植物工場
廃校の空き教室や体育館などを利用して、植物工場を設置することが考えられます。
LED照明や水耕栽培技術を駆使し、学校という教育施設を生かして農業教育と地産地消の実践を結びつけることも可能です。
学校という場所は地域のシンボルであり、そこで生産される野菜や果物が地域住民に供給されることで、コミュニティ全体が参加する新しい経済循環を生み出します。
デザイン思考で考えるポイント:
- 植物工場の運営は、地域住民や若者、特に新しい農業技術に興味を持つ層を巻き込むことで、農業教育や雇用創出の場として機能させる。
- 学校施設の特性を活かし、教育と生産が共存する環境をデザインする。
例えば、地域の子どもたちが実際に農業に触れることができる体験型プログラムを組み込む。
- 生産された作物を地域のレストランやカフェに提供し、地域全体で消費できるサイクルを作り出す。
2. 陸上養殖による水産資源の育成
廃校の一部を改造し、陸上養殖施設を設けることも斬新なアイデアです。
室内環境を制御しながら、淡水魚や海水魚、エビなどを育てることで、新たな地元の産業として機能させることができます。
特に地方の過疎化が進む地域では、食料自給率を高めることが重要ですし、陸上養殖はその一つの解決策となります。
デザイン思考で考えるポイント:
- 養殖魚の生産過程をオープンにし、地域住民や観光客に見学させることで、食と環境について学ぶ場とする。
- 養殖された魚を地域の市場やレストランに提供し、地元経済の活性化に繋げる。
また、地元の食文化を新しい形で再構築するアイデアも盛り込む。
- 廃校の中で、地域の子どもたちに水産業や自然資源の持続可能性について学ぶ機会を提供する。
SDGsとの関連
これらの廃校活用の取り組みは、SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」および、目標12「つくる責任 つかう責任」と深く結びつきます。
再生可能エネルギーの利用や、廃校を活用した地産地消型の植物工場や陸上養殖の取り組みは、地域の持続可能性を高め、エネルギーや食料資源の自給自足に貢献します。
また、こうした施設を地域の教育や雇用の場として活用することで、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」にも寄与することができます。
廃校は、問題としてだけではなく、新たな価値創造の場として、地域全体の再生に貢献できるポテンシャルを持っているのです。