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出産2ヶ月前、娘と挑んだ妊婦には過酷すぎるアレの話/妊娠記録
妊娠8ヶ月。振り返ればちょうど出産2ヶ月前にあたる日、私たち家族は富士山の麓にいた。元々関西人の私にとって富士山ってなんだか特別。綺麗に見えたら、いちいちSNSにアップしたくなる。多分、関西人あるある。お母さんとかおばあちゃんが新幹線に乗ると必ず、今日の富士山が見えたのかどうか報告のLINEが届くし。もしや、関西人あるあるじゃなくて、我が家あるある?
そんな特別な富士山の麓へ、安産祈願を兼ねてパワーを頂きにやってきた。この日の富士山は私の人生史上、もっとも美しい姿だった。静かな水面に逆さ富士が写り、雄大で美しく、なんだか神々しいほどだった。
『こんな富士山に出会えるなんてツイてる!お腹の中の三女は大物ちゃうか〜』と勝手な期待を娘にかける。上の姉二人が大声で騒ぎ立ててもぐっすり寝ているところをみると、やっぱり大物?それとも3人目あるある?
念願の富士サファリパーク
さて今回のメインイベントは、実は安産祈願ではない。ちよ&ゆみ人生初のサファリパーク!妊婦には過酷すぎるアレなんてタイトルで富士山の話したもんだから、まさか登ったのかと思った人いたかな。ごめん、さすがに私もそこまでは攻められへん。。。
『フジ!サファリパァーク♪』有名なCMで名前だけ知っていた動物園。これも関西人の私にとっては、子どもの頃連れて行ってほしくて両親にねだったことのある場所。『めっちゃ遠いんやで!』その母の一言でこの話は終わった記憶しかないけど。でも、確かに遠い。兵庫県の片田舎に暮らしていた我が家から車で5時間の道のり。子連れ5時間は白目やな、今なら分かるよ、お母さん。
そんな子どもの頃の夢が詰まったサファリパークなので、富士山の麓でなにする?と、なった時に1番に思い付いた。特に今のご時世、アウトドアでいいんじゃない?ということで即決。とにかく晴れることを願って、その日を待つ。長女ちよは『こうやってー、ライオンさんに、ごはんあげるんだよー!』とトングでお肉をあげるイメトレまでバッチリ。ホントにホントにホントにホントに、ライオンだ!近すぎちゃってどうしよう?状態になる娘たちを想像するだけで私もワクワク。
ジャングルカーではなくマイカーで入場
到着すると、金網張りのジャングルカーは当日券完売。ライオンにお肉あげたいという娘の願いが潰えた瞬間。やばい、どうしてもゴハンあげたいスイッチ入ったらどうしよう。。。と娘チラリと見ると目を輝かせて座っている。状況が分かっていない様子、セーフ!子育てはいつだって黒ひげ危機一髪。『お願いだから、飛び出さないで』と願いながら剣を握る。私たちは、あたかも予定通りの顔をしてマイカーでサファリ入場の列に並んだ。大きな金網の扉が開いて中にはいると、いた!クマ!トラ!ライオン!!昼間のツアーだから仕方ないかもしれないけれど、どの動物たちも寝そべってだらけきっている。トラに至っては、お腹を上に向けて寝ている始末。マジで野生やったら君たち瞬殺やで。それでもちよゆみは『わぁぁぁああ!』と動物に近づくたび歓声をあげるので、親としてのミッションはコンプリートした気分。ええやん、ライオンにゴハンあげられなくても。楽しんでもらえたら結果オーライ!そう胸を撫でおろしたその時、ちよが叫んだ。『あ、キリンさんにゴハンあげてるよー!!』ぎょっとして見ると、確かに高台に登った人が葉っぱを手にキリンに食べさせている。
キリンさんにゴハンあげたい
それ以降『ちよも!キリンさんにゴハンあげる!』しか言わなくなる。娘よ、まだサファリパーク中盤やで。もうサイもサルも目に入らない娘。とにかくキリンの元に連れて行けとごねるちよ。覆水盆に返らず。飛び出してしまった黒髭も、もう樽には返らない。調べるとキリンさんゴハンはウォーキングサファリの途中にあるらしい。歩いてサファリパークか。それもまた楽しいかなと、軽い気持ちで『はーい、車降りたらキリンさんのところ歩いて行こうね』と約束してしまった。
『ウォーキングサファリ大人2枚ですね!』受付で支払いを済ませて入場しようとした矢先、耳を疑う言葉が。『全長5キロです。トラまでだったらゴールに行くより、こちらに引き返してこられた方が近いですよ。』え、まじで?妊娠8ヶ月の妊婦に山道5キロ歩かせる気?IKEA一周するだけでヘロヘロになる妊婦が?拓也と顔を見合わせて目を白黒させながら『キリンにゴハンあげたいんですけど、キリンはどこにいますか?』受付のお姉さんに聞く。『キリンは終盤なので、キリンまで歩くなら、ゴールまで行ってしまった方がいいですよ!』と、にこり。私たちはげっそり。5キロ歩く事実からは逃れられないらしい。しかし気持ちはキリンの娘たちは既に歩きだしている。いや、そもそも君たちも5キロなんて歩けないでしょ!絶対抱っこってなるやん。
でもキリンにゴハンあげに行こうと約束したし、ライオンのゴハンも出来なかったし、、、と湧き上がる呵責の念。やらない後悔より、やって後悔!と、私の訳の分からない体育会系にスイッチが入った。
時々入る私の体育会系スイッチは、高校時代にバスケ部で倒れて一人前みたいな練習してたときに回路がおかしくなってしまったに違いない。拓也も拓也で学生時代に剣道部で時代錯誤な練習してたもんやから、うちの夫婦は二人揃って回路がイカれてる。だって考えてみて?妊娠8ヶ月でお腹パンパンやのに、ウォーキングサファリで山の中5キロやで。冷静に考えて、私なら絶対行かへん。まあ、行ってしもたんやけど。
いざ、歩き始めると5キロの距離感が分かる大人ほど足取りが重い。ここは平坦だったけれど、富士の樹海をサファリと一緒に楽しめるオツなコースの為、この後どんどん坂道に突入する。ほんまそんなオプションいらんねんと、この時は本気で思った。登って、降りて、途中、クマに出会って、ライオンに出会って、トラに出会って、、キリンさんまだかな。。。妊婦の健康お散歩の域は既に過ぎたぞ。ここからは、娘をキリンに会わせてやりたい親心が頼り。半分くらい来たところでようやくキリンの看板が!キリンの口元に近づけるよう高台が組まれていた。これ!車から見たやつ、これ!!階段を登る元気はなく、拓也に千代を託してゴハンしておいで〜と送り出す。
しばらくして降りてきた3人に『どうだった?』と聞くと衝撃の一言『キリン可愛かったねー、ゴハンなかったねー』どうやらエサのお時間が決まっていて、今はただ高台で観察するタイムだったらしい。マジか、、、何のためにここまで歩いて来たんだ。。。飛び出した黒髭が、気まずそうに逃げていくのが見える。幻覚だ。
『キリンさん、可愛かったねー!!』ホクホク笑顔でちよが言う。ゴハンあげられなかったことは、さほど気にしていないらしく、近くで見るキリンがのほど嬉しかった様子。なんだ、喜んでくれるならそれでいいんだけどさ。なんていうか、ゴハン。。。ゴハンの時間決まっているなら教えてよ、受付のお姉さん。。。まあ、いっか!これだけ喜んでくれるなら歩いた甲斐があるってもんよ。まあ、いっか!!
結局、長女は最後まで歩いてくれて成長も感じられたし、まあ、いっか!(3回目)ポニーにも乗って子どもたち大満足のサファリパークでした。私にとっては、歩き切ることが最優先事項になって景色や動物を楽しむ余裕ゼロだったので、身軽になってまた行きたい。
ホントにホントにホントにホントにキリンさんだ!近すぎちゃってどうしよう!を次こそ体験したい。失敗を糧に、この次はちゃんとジャングルカーの予約を取って、キリンさんのゴハンタイムを必ず調べてから行こう。