Andrew Ngの新提案:プロンプトエンジニアリングでAIを最大限に活用する方法
AI分野の第一人者であるAndrew Ngが、新たなプロンプトエンジニアリングのベストプラクティスを公開しました。AIモデルの能力が飛躍的に進化する中で、開発者が知っておくべき最新のテクニックと具体的な実践ステップを紹介します。
1. AIの進化とプロンプトエンジニアリングの重要性
2022年11月のChatGPTの登場以来、GPT-4、Gemini 1.5 Pro、Claude 3 Opus、Llama 3-70Bといったモデルが次々とリリースされました。これらのモデルは、特に「推論能力の向上」と「入力コンテキストウィンドウの拡大」において大きな進化を遂げています。これにより、開発者はより複雑で詳細なプロンプトを使いこなす必要があります。
2. 詳細なプロンプトの作成方法
Andrew Ngは、GPT-4などの最新モデルが複雑なプロンプトを解釈する能力に優れていることを強調します。従来の1〜2文の簡単なクエリではなく、開発者は「メガプロンプト」と呼ばれる1〜2ページに及ぶ詳細な指示を提供することが推奨されています。
メガプロンプトの例:
メガプロンプトは、プロジェクトの目標、期待される結果、ステップバイステップの指示、必要な前提条件と制約などを詳細に記述するものです。例えば、以下のような内容が含まれます:
プロジェクトの目標:最終的な目標や期待される成果物を明示します。
例:「ユーザーからのフィードバックを収集し、顧客満足度を向上させるための改善点を特定する。」
期待される結果:具体的な出力の形を記載します。
例:「テキスト分類モデルを使用して、ユーザーレビューをポジティブ、ネガティブ、ニュートラルに分類する。」
ステップバイステップの指示:モデルがどのようにタスクを進めるべきかを詳細に説明します。
例:「まず、ユーザーレビューを読み込み、次にキーワードを抽出し、その後、感情分析を行う。」
前提条件と制約:モデルが動作するための条件や制約を記載します。
例:「レビューは英語のみとし、長さは最大500文字とする。」
3. 入力コンテキストウィンドウの最大活用
長い入力コンテキストウィンドウの利用は、新たなプロンプトエンジニアリング手法を可能にしました。GPT-4oは128,000トークン、Claude 3 Opusは200,000トークン、そしてGemini 1.5 Proは2,000,000トークンを処理でき、多ショット学習を効果的に行えます。
多ショット学習の例:
テキスト分類タスク:数百の例を提供し、モデルがそれを元に新たなテキストを分類できるようにする。
例:「ポジティブなレビューの例を100件、ネガティブなレビューの例を100件提供し、それぞれにラベルを付ける。」
チャットボットの対話シナリオ:複数の例で訓練し、自然な会話を実現する。
例:「顧客サポートのシナリオを50件用意し、それぞれに対する理想的な応答を含める。」
4. 実践ステップ:成功するプロンプトエンジニアリング
Andrew Ngは、プロンプトエンジニアリングを効果的に行うための具体的なステップを次のように示しています:
簡単なプロンプトで開始:まずはシンプルなプロンプトを使ってモデルの反応を見ます。
例:「製品レビューの分類を依頼する簡単な指示を与える。」
逐次改善:出力結果を見て、プロンプトを詳細にしていきます。これにより、プロンプトが「メガプロンプト」に進化します。
例:「最初の出力が不十分であれば、レビューの具体的な例や期待する分析結果の詳細を追加する。」
多ショット学習の活用:特定のタスクに対して多数の例を用いることで、モデルの精度を向上させます。
例:「レビューのポジティブ、ネガティブ、ニュートラルの例を多数提供し、それぞれにラベルを付ける。」
タスクの細分化:それでも結果が不十分な場合、タスクをより小さなサブタスクに分解し、エージェント型ワークフローを適用します。
例:「レビューの感情分析を個別に行い、その結果を統合して総合的な評価を行う。」
5. 深掘りリソース:さらなる学習のために
プロンプトエンジニアリングのさらなる戦略に興味がある方には、MicrosoftのMedpromptペーパー(Noriら、2023年)を推奨します。ここでは、複雑なプロンプト戦略が詳細に解説されており、非常に参考になります。
結論
AI技術が急速に進化する中で、プロンプトエンジニアリングも新たな段階に入りました。Andrew Ngの提案するメガプロンプトの活用や多ショット学習の手法を理解することで、開発者はより効果的にAIを活用できます。これらのベストプラクティスを取り入れることで、AIプロジェクトの成功率を高め、より精度の高い結果を得ることができるでしょう。