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パンダが可愛いから私は可愛くないんだ

 私は異常なまでのパンダ好き。部屋中にパンダが住んでいて、白黒の世界が広がっている。

 「なんで好きなの?」と皆に聞かれるけれど、本能で好きだと返していた。可愛いのは誰もが知っていることだし(と信じているし)、他に理由なんてない。

 しかし最近、もしかしたら私はパンダに憧れているのではないかと思うのだ。パンダはなんでも持っているから。

 白黒つけられ、白黒つけなくてはいけない毎日に、いよいよ私は限界を迎えた。カーテンをグレーにしてみたけれど、そういうことじゃなかった。白と黒が混ざっていいわけではなくて、どちらも綺麗に欲しかった。相反するものを、一度に抱えておきたかった。どう考えても、無理だからこそ。

 それなのに、パンダは白黒だ。あんなにのんびりと、ころころと生きているのに。喉から手が出るほど私が望んでいるものを、笹を食べながらも手放すことなく纏っている。ずるいやつ。笹が鮮やかな差し色になっていて、あまりにもオシャレ番長。

 沢山寝られて、沢山愛されて、何をしたって可愛さは減らないどころか増えていって。私の欲しいものは全部、パンダが持っている。

 少し羨ましいけれど、私に無い分パンダに注がれたのだと思うことにしている。だから生きていられる。パンダが可愛くてよかった。

 パンダは可愛い、あまりにも。私の人生。多くの人には引かれるかもしれないけれど、私の色々を担っているから仕方がない。



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