樹色マガジン第17号(2024.5)
川嶋ぱんだの作品
タイニーな空間
風光るパンの気泡のなかに窓
抽斗を紋白蝶で埋め尽くす
臆病なたんぽぽならば平手打ち
エジプトの壁画を覆う野焼かな
標準時子午線チェリーブロッサム
飛花落花且つ平行に垂直に
桜蕊降る喉から出ないあなたの名
ソファーが硬い葉桜が虚空から
靴紐もチーズも葉桜も溶ろけ
屈伸の途中で虹が見え隠れ
薫風やパリッと乾くバスタオル
杉の花漫画で読める深海魚
間接照明ところどころ鯉幟
部屋は空より広々と夏はじめ
閉ざしたカーテン萬の蝗が宙返り
白シャツを乾かしている迷路かな
律新集2024.4 川嶋ぱんだ 選
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中川多聞
豆苗を切り取る錆びた長鋏
現役のペーパーナイフ夏の雨
白い床首から上の無いナメクジ
ががんぼが足を減らして死んでいる
常波静
気付きましたか 噴水が泣いたこと
柏餅小さな歯形刻みつけ
校長の夏襟いつもくたびれて
ばあちゃん家出番の来ない蝿叩
菊池洋勝
動物園で付くる免疫雉子
霾晦覚えられない顔ばかり
溲瓶に吹く洗剤の泡含羞草かな
春分の引つ繰り返る試合かな
律新集選評 川嶋ぱんだ
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5,941字
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