no.5 義母帰らない!?
いよいよ退所の日。
義母は本当に帰ってくるのか?当日になってもまだ、現実味がないのである。
義母がいないことが当たり前になってしまっているのだ。
結局、義母の部屋の片付けはあまり進まなかった。
片付けようとするのだが、まるで「大リーグボール養成ギブス」をつけているかのように体が動かなかった。
義母の退所は午後2時。
介護タクシーは、午後1時には施設に到着するとのこと。
片付けは午前中が正念場だ。
とりあえず、壊れた椅子2脚と義父母の部屋から出た生ゴミ、不燃ゴミを市のゴミの処分場へと運ぶ。この作業を担当するのは私。
夫は家に残って掃除機かけをする。
市のゴミ処分場は、車で10 分ほどのところにある。
車専用のゲートから入り、車に乗ったまま事務手続きをする。
係の人 :「何のゴミですか?」(車の中を覗き込む)
私 :「家具、空き缶、プラスチックゴミと燃えるゴミです」
このやりとりの間、車を停車している場所では「ゴミ+車体+私」の重量を計っている。受付が済んだら先に進む。
ゴミの種類ごとにレーンが分かれる。
ここから先は係のおじさんに言われるがままに進む。
おじさん :「家具があるね、3番に行って」
言われた通り、3番レーンに行き、椅子を下ろす。
すると、どこからともなく、係のおじさんたちが集まって来て、手伝ってくれる。久々にモテた。ちがうか。
おじさん : 「次、4番に行って」
4番のレーンの方を見ると、別のおじさんが、おいでおいでをしている。
4番へ向かい、空き缶を下ろす。また、おじさんたちが手伝いに来る。
これを何回か繰り返しているうち、なぜだか、笑えてきた。
素朴なおじさんたちとの、他愛ないやりとりに、気持ちが緩んだのかもしれない、楽しい。
義母の施設から着信があったことに気づく。何事だろう。
よくないことが起きたのだろうか。急いで出口へ向かう。
出口の手前で会計をする。
そこでは、ゴミを下ろした後の「車体+私」の重量を計っている。「ゴミ+車体+私」から減った分がゴミの重量として換算される。料金は800円だった。
施設に電話をかけると、なんと、義母がコロナ陽性とのこと。
仕方がないので、陰性になるまで、退所は延期にしてもらった。
午後からヘルパー定期巡回が始まる。介護タクシーも来る。
大慌てでケアマネに連絡をとり、事情を話して、キャンセルの手続きをお願いした。レンタルの福祉用具なども、利用を開始するまでは、料金はかからない言われ、安堵した。
94歳の義母は幸い無症状とのことだが、大丈夫なのか…。