2015年は「音楽が売れない」は本当か? ヒットの崩壊①

 久しぶりにnoteにチャレンジしてみたいと思います。この記事をどれぐらいの方が見ていただけるのかわかりませんが、わけあって令和の音楽シーンについての論文を書き上げるという機会に恵まれたので、まずは気が付いたこと学んだことを書き留めていきます。

 もはやゾンビと化しているnoteなので、突然ジャンルが変わっても影響は出ないでしょう。

 日本の音楽シーンの研究で最近影響を受けたのが、柴那典さんの「ヒットの崩壊」です。この本は2016年に出版された本ですが、現在の音楽シーンにもつながるところがあるのではと思っています。

 2015年当時は「音楽が売れない」と言われ続けていた時代である。最もCDが売れたという1998年は6074億円だったのが、2015年当時で2544億円と17年で3500億円の市場が無くなっています。このような結果を見れば、音楽が売れなくなったと言われても仕方がないでしょう。

 それは本当だろうか?

 実はそうでもないらしいのです。歌謡曲全盛の80年代、J-POPという言葉が普及した90年代と比べても、アーティストたちは着実にキャリアを重ね、息の長い活動ができる時代だそうです。

CDは売れなくても、ミュージシャンは生き残る

 このところ夏や年末に生放送の音楽番組が放送されることが多くなってきたようだ。「ミュージックステーション スーパーライブ」「FNS歌の夏祭り」など数時間、時には10時間を超える音楽番組もあるようです。

 その中には、10年20年以上のキャリアを重ねている人たちが多い。ミスターチルドレン、サザンオールスターズ、GLAYにラルクといった20年以上も第一線で活躍している人たちが平然と参加しております。SMAPや嵐は解散してしまったけど、ジャニーズ(もうその名前はダメか)の人たちだって10年以上のキャリアで活躍してきた人たちばかりでしょう。

 ミスチルやドリカム、B’zといった面々が今でも現役バリバリでステージに立ち続けるのは何も違和感を感じないでしょう。けど、彼らが登場した90年代は、次々と社会現象的なヒットを飛ばしては下火になってしまう。アーティストは毎年現れました。誰とは言いませんが、40歳以上の方なら思い当たるアーティストは何人か思い浮かべることもできるでしょう

終わらないアイドル戦国時代

 アイドルだってそうだ。メンバーの入れ替えはあれど、AKB48にモーニング娘に乃木坂46といった面々も気が付けば10年20年のキャリアを重ねている。最近のアイドルやアーティストと思っていた面々も気が付いたら10年以上のキャリアを重ねているのです。

 かつてのアイドルは決してそんなことはなかった。象徴的なのは1985年のおニャン子クラブです。確かにおニャン子足掛かりに順調にキャリアを重ねている人もおりますが、1987年にはあえなく解散しているのです。男性アイドルだったら光GENJIというグループがいました。瞬間風速としては、嵐やSMAPに匹敵するグループです。それでも90年代に入ったら大きく人気を落としています。アイドルグループの寿命は数年で90年代ではアイドル冬の時代と言われていたぐらいです。

 それが2010年代はどうでしょう。モーニング娘もAKBも10年以上のキャリアを経て第一線で活躍しています。モーニング娘もASAYAN時代のLOVEマシーンの時のような派手さはないけど、メンバーが入れ替わりながら第一線で活躍しています。

 アイドルなんて80年代の古き良き時代のものと思いきや、今でもしっかり文化として根付いております。

なぜCDが売れないのに、バンドもアイドルも生き残るのか?

 2015年では音楽業界の構造が大きく変わっています。CDよりもライブやコンサートといった興行が収益の柱となのです。90年代はとにかくCDがバカみたいに売れてCDバブルともよばれていたのですが、2015年をもってライブの収益がCDの収益を上回っています。それによって実力のあるアーティストが活動を続けられるようになってきました。

 実力のあるベテランが息の長い活動を続ける代わりに、若手のアーティストがヒットを飛ばすことが難しくなっているようです。

 その理由は2つあり、レコード会社が新人に投資する余裕がなくなったこと、かつて有効だったプロモーション戦略が通用しなくなったことです。90年代なら月9に代表されるドラマのタイアップや音楽番組への出演でとにかく露出させ、認知を高めればCDは飛ぶように売れます。90年代に高校時代を過ごした私はまんまとその戦略にはまっておりました。

 しかし、90年代と同じことをやっても今じゃCDはなかなか売れないでしょう。世の中そんなに甘くありません。

 実力のあるベテランアーティストが今もなお第一線で活躍しているのはわかります。それでも勢いのある若手は少ないながらも毎年登場しています。

 CDこそ売れなくなってきたけど、ライブを通じてまだまだ音楽業界が活況であることは良いことではないかと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?