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連動

それはもうどっぷりと
君に会っているような心地になっていたんだ




「数ヶ月かけて勉強していた試験が
ようやく終わったんです」

私はカチャカチャと音をたてて
指先を踊らせながら
誰にするわけでもない状況説明を
頭の中でしていた

「やっぱり勉強していた反動が大きいのか
今は執筆と読書が楽しくって」

今や机に向かう時の必需品となってしまった
アイスカフェオレは
ダブルウォールグラスの中で
今日も静かに飲まれる時を待っている

「主人公は私そのものですよ」

小さな画面から流れるBGMは
君を好きになると同時に
好きになったバンドの
狂おしいほど哀愁漂う失恋ソングだ

「相手役のイメージはあの人なんです」

私はぼんやりと
焦点の合わない目で壁の方を見つめた

「ずーっと会えてない、好きな人」

文章を打っている間は
まるで君が目の前にいるようだ

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